【 2009年 第 3 回】就職、転職を機会に、自分のライフプランを考えてみよう トピックス
當舎 緑(トウシャ ミドリ) ⇒プロフィール
新生活のスタート
厳しい就職活動を終え、内定取り消しという災難にもあわず、運良く4月から就職もしくは転職のために、新生活をスタートさせる方もいるでしょう。そのとき、給料としてまとまったお金が入るのは嬉しいものですが、そのお金が、人との飲食費やちょっとした買い物など、気がつけばなくなることもよくあることです。
そこで、提案です。
働き始める前に、自分の資産整理(まだ資産と言えないほどだとしても)をしてみてはいかがでしょうか。
新生活が始まると、毎日が、新しい仕事を覚えたり、歓迎会その他の雑用で、あっというまに一日が過ぎるはずです。だから、そうなる前に、入ってくるお金がいくら、必要なお金がいくらと試算し、残りのお金を少しでも残すというプランを考えておくのです。
私の場合は幸せなことに、就職後に、親に毎月渡しておいたお金は、知らないうちに積み立てられていましたので、そのお金はまとまった額になり、自分の結婚費用に役立ちました。
だが、そういういい話は、親の世代が、余裕のある場合のこと。親に余裕がなければ、お金を親に渡しておいても、生活費に消え、残りはしないでしょう。
勧誘の波
また、新生活が始まってから、困ることに、一定の収入があるということで、押し寄せてくる勧誘の波をどう乗り越えるかということがあります。
例えば、保険の加入は注意が必要です。
私もいくつか見たことがありますが、独身者に高額の生命保険がかけられている事例。
独身であるので、当然受け取り人は親となっているのですが、子供が亡くなってから、親にお金が入るというのも、ケースバイケースです。子どもの収入がなくても親が生活できるのならば、あまり、高額の保険金をかける必要がないかもしれません。
これは、必要な補償の面からでなく、毎月のお給料から、払える保険料を計算して、保険に加入してしまった悪い例と言えるでしょう。
そして、クレジットカードもよく勧誘されるものです。
まとまったお金が手に入ったことで、大きな買い物をすることもあるでしょうが、そのときによく勧められるのが、ポイントカードだけでなく、ポイント機能の付与されたクレジットカードの加入でしょう。
これは「おとく」であるのか、ないのかは、その後、どれだけその店を利用するのか年会費はかからないのか(初年度だけでなく、次年度も調べること)いくつかの点を考慮しなくてはなりません。結局何か買うたびにカードを発行してもらい、一体何枚のカードを持っているのか、自分でも把握しきれなくなり、管理できなくなる可能性もあります。
学生時代にカードに加入していた場合も、勤務先や自宅の場所が変わる場合には、そのままのお得感を持続させることは難しいかもしれません。
私は昨年横浜から名古屋に引っ越したのですが、そのとき、年会費が必要なカードを解約しました。それまでは、買い物によるポイント還元で、年会費など気にはならなかったのですが、ポイントが入らないとなると、お得感が感じられなかったからです。この年会費を小さな「ちり」とみるかどうかは人それぞれでしょうが。
簡単なライフプラン
ここで、転職、就職のための準備をおさらいしておきましょう。まずは、自分が毎月自由に使えるお金はいくらなのか計算しておくこと、そして、自分が今加入しているカードを整理することです。カードが多すぎる場合は、使わないものはないか、チエックしてみること。
次に、もし親が契約してくれていた保険があれば、そのまま、加入し続けるかどうかを再考すること。必要な補償でないのなら、その保険料は、何か別のものを積み立てることができます。
最後に、大学時代に奨学金を借り入れた学生も多くいるでしょう。奨学金の滞納額の多さが社会問題化され、滞納をしていると、最終的に「強制執行」という法的制裁を受けることもあり得ます。
新生活のスタートに、借金の返済生活を考えるのも、門出に水を差すようで、申し訳ありませんが、必要なことです。
結婚生活の最初に、夫の奨学金の返済計画が必要となった妻のぼやきを聞いたことのあるFPとしては、ぜひ「借金の返済、そして、身辺整理はお早めに」と言いたいと思います。
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