【 2009年 第 6 回】海の中の環境問題 「海の中」の世界
佐藤 涼子(サトウ リョウコ)
12月上旬に、カナダのブリティッシュコロンビア大学などの研究チームは、地球温暖化が進むと、2100年ごろには東南アジアなど熱帯や亜熱帯の海域を中心に、場所によっては漁獲量が最大40%も減る可能性があるとのシミュレーション結果をまとめました。
日本沿岸も今より5%ほどの減少になると予想されています。
また、ロシア欧州部は異常な暖冬に見舞われており、首都モスクワでは12月2日午後、19世紀に気象観測を開始して以来、同日としては最高の8.1度を記録したそうです。
モスクワのこの時期の平均気温はマイナス4度。12度以上も上回っていることになります。
ダイビングで感じた水温の変化
この地球温暖化問題は、2009年に私がダイビングをしている時にも感じることができました。それは、今年7月の3連休に、私が伊豆に行った時のことです。1日目は、中木というところでダイビングを行いました。あいにく天候は悪かったのですが、何とかダイビングはできるという状況でした。
ダイビングショップの方にお話を聞いて私は絶句しました。
水温が17度から18度ほどしかないというのです。
7月の伊豆の平均水温は約20度ですので、今年は低いというのがわかります。
また、周りのダイバーからも「今年は全体的に水温の上昇が遅い」ということを耳にしました。
理由としては、暖流である黒潮が入ってくるのが遅いということが挙げられます。
ですが、この異常とも思える水温の変化は地球温暖化の影響も多少関係しているのではないかと思うのは私だけでしょうか?
下記の図1をご覧いただくと、2009年7月の駿河湾の水温は平年よりやや低い、かなり低いということがおわかりいただけると思います。
また、沖縄の海では珊瑚の白化現象が止まりません。世界有数の珊瑚の生息地である美しい沖縄の海を今年5月に潜りましたが、珊瑚の元気がなく、白くなっていることに気づきました。
海もCO2を吸収している
読者の皆さまは熱帯雨林だけではなく、海もCO2を吸収しているということをご存知でしょうか?
特に、人間が排出した二酸化炭素量の半分は、海と熱帯雨林が吸収しており、気温や海水温は二酸化炭素の貯蔵状態に大きく関係していると言われています。
地球温暖化は生態系に大きな影響を及ぼします。
人間以外の生物も快適に過ごせるような環境を作り出すこと、私たちが努力できることはたくさんあるはず。それは、将来皆が幸せに暮らせるもとになるのだと確信しています。
自然とは何かを考える
お恥ずかしい話ですが、私はダイビングをするまで、真剣に環境問題について考えたことはありませんでした。しかし、ダイビングを始めて海に接することで「自然」とは何かについて考える機会を作ることができました。
その中で気づいたことは、自然は優しい顔、怖い顔を持っているということ。私たちは自然の中で生かされているのだとうこと。偉大なる自然の前では、私たち人間は無力だということ。広い海の中に潜っていると、人間とはなんて小さいのだろうと感じます。
世の中の動きが「環境」を考える動きに変わっています。
皆の努力で、美しい自然を後の世代の方々にまで引き継いでいきたいと切に思います。
半年という短い間でしたが、「海の中の世界」を読んでいただきまして、ありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
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