アメリカからの現地レポート:知って得する米国ファイナンシャル・不動産情報!【2009年 第 14 回】

【 2009年 第 14 回】 アメリカからの現地レポート:知って得する米国ファイナンシャル・不動産情報! スポットコラム

 竹内 守(タケウチ マモル)

アメリカの不動産事情

皆さん、こんにちは!

来年1月より、新規コラム:米国投資(不動産編)を担当することになりました、Takeuchiと申します。このコラムを通して、これからアメリカの不動産事情を皆様にお届けして行きたいと思います。単に一般不動産だけではなく、商業物件、ビジネス売買、競売不動産情報など様々な角度からアメリカの不動産情報をお届けいたしますので、宜しくお願いします。

まずは、簡単に弊社のご案内をさせてください。米国・カリフォルニア州ロサンゼルスに本社を構えております総合ファイナンシャル会社です。住宅ローン、不動産売買、各種保険、年金プラン、信託などを取り扱っています。会社がありますトーランス市は、日本の大手企業(トヨタ・ホンダ・全日空等)、日系中小企業が集まっている街で、多くの日本人が暮らしている都市としてご存知の方もいらっしゃることと思います。

また、2007年10月1日に、特定非営利活動法人(NPO法人)日本FP協会に法人賛助会員としての認定を受けたのを機に東京の銀座に支店を設け、日米における個人・ビジネスの不動産投資、節税プラン、ファイナンシャル・退職プラン、相続プランなどのアドバイスも業務として取り扱いができるようになりました。

サブプライム問題はなぜ起きた?

今回は、1月からのコラムに先駆けまして、これまでの米国市場の動向を簡単におさらいします。
皆さんご承知のようにサブプライム問題に端を発し、米国不動産価格の下落、フォークロージャー(差し押さえ物件)、銀行所有物件の急増から、昨年のリーマンショックによる世界的株価の暴落を経て、オバマ新政権誕生後、政府・民間機関による数々の支援・救済策、てこ入れによりようやく持ち直しが見え始めてきているところです。

では、そもそもサブプライム問題はなぜ起こったのでしょう。2000年以降、アメリカではITバブル崩壊に伴う経済不況からの脱出と、911の同時多発テロにより生じた不安を取り除くためFRB(連邦準備制度理事会)が超低金利政策を採用しました。これにより住宅ローンの金利の急低下を引き起こし、消費者の購買意欲が掻き立てられ、結果的に住宅販売は増加に転じました。

住宅価格が上昇するに伴い、住宅の担保価値が急上昇し、ローンの借り手が支払い不能な状況になっても、住宅を処分すれば貸したお金を回収することができるという銀行の見込みの下、リスクの高い借り手でもローンを組むことができました。
これが一般に言われるサブプライムローンです。

これにより、多くの消費者の住宅ローンが承認され、住宅販売数増加と価格の上昇につながっていきました。多くの住宅ローンが当初数年間の金利を低く抑えたり、金利のみの支払い、あるいはそれ以下の支払い額でも受け入れたりと、返済負担を軽減したものが普及しましたが、その後金利が市場に併せ調整され2004・2005年度の770万件に上る新規変動ローンの18%は月々の支払いが1.5倍になるなど支払額が大幅に増加しました。

また、米国景気の鈍化に伴うリストラなど失業率が増加したことにより、ローンの支払い不能者が多数現れました。2006年秋以降は、中古住宅を含む住宅価格がピークを迎え、徐々に下落への道を辿りました。それによりここ数年で購入された住宅に対して組まれた多数の住宅ローンに、担保割れの可能性が生じてしまいました。

ローン完済が出来ない借り手も続出し、多くの人に返済不能の兆候が見られるようになり、新規ローン8件につき1件、つまり100万件は返済不能という事態に陥りました。2006年には25%に上る住宅ローンに影響を与え、2007年度は178万件に上る物件が返済不能や差し押さえ状態になり、2008年度にはその数が316万件を越えました。

さらに今年度には、340万件近い物件が差し押さえとなることが予想されており、これら抵当流れ物件の増加を伝えるニュース、さらにはリーマンショック以降、各種メディアで報道された大恐慌あるいは、2007年12月の米景気後退入り確定報道などにより一般消費者の購買意欲を下げることにつながり、アメリカ経済に大きな打撃を与えることとなりました。

ようやく底を打った景気の落ち込み

ようやくここ何ヶ月で、また、リーマンショックから丁度1年の期間を経たという精神的な節目で、全体的には明るい兆しが見えつつあり、景気の落ち込みが底を打ったような様々な指標も出てきております。

一方で、不動産市況に目を向けると、今年8月までのデータで14ヶ月連続の住宅販売件数の増加が伝えられていますが、未だ販売価格の中間値ではまだまだ減少傾向にあるようです。この価格の下落が意味しているところは、やはり差し押さえ・競売物件の増加、ショートセール、銀行所有物件の叩き売りなど、いわゆる不良債権処理というものが現在進行形で行われている結果と言わざるを得ないのではないでしょうか。
この処理が完了するまでは、本当の意味での米経済回復とは言えず、まだまだサブプライム問題は米国不動産市況に対して尾を引きそうです。

この処理を間接的に促進するために、日本の投資家でも参加可能で、高配当を得ながら米国経済の後押しができるような、現在のこのタイミングだからこそできる意義ある投資商品がございます。詳しくは、1月以降のコラムの中で紹介していきたいと思っておりますので、乞うご期待を!

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