【 2009年 第9回】 リタイア後のお金の問題 その1 リタイア準備
西谷 由美子⇒プロフィール
この記事がアップされるころは夏ももう終わりですが、皆さん、夏休みはどうでした?お盆はちゃんとお墓参りができました?
男兄弟のいないわが家の場合、私と妹の協議の結果、祖先の祭りは私のお仕事。13日には車で1時間半かけて「おしょうろ(精霊)様」をお迎えに、家に帰ればもてなしのお膳、15日にはお送りのお膳を供えてから再び車で1時間半、お墓までお送りです。もちろんこの間は「精進料理」。すっかり健康的なベジタリアン生活でした。
こういう習慣は先祖代々のお墓があれば、ず~と続く行事の中で自然と憶えてしまうのですが、核家族化が進み、郷里との距離が物理的にも精神的にも遠ざかってしまうと、なかなか縁遠いものですよね。
終の棲家、お墓どうする?
で、リタイア後を考え(あるいは想像し)た時、ホントは考えたくないことですが、
「子供たちも独立した、住宅ローンも払い終えた。さて、次に彼岸へと旅立った時、終の棲家(ついのすみか)はどうなるんだろう?」
大問題ですよね。地方に先祖代々のお墓があっても、マイホームは勤務地の首都圏、なんて場合(ウチの妹一家がそうです)、帰郷は家族全員で飛行機ならボーナスのほぼ総てが消えていく勘定では?配偶者、子供たちに、納骨や年忌の行事の度に民族大移動や参勤交代並みの苦労をさせてよいものだろうか・・・そもそも、ウチにはお墓がないよという場合だってありえます。
さて、折込チラシコレクターの私は、我が家から車で20分程度の高台に位置する無宗教霊園、1区画の永代供養料と立派な墓石代、セットで180万円弱、という金額をしっかり記憶しております。経験から言うと人口10万弱の九州の地方都市ではお寺の永代供養料(使用権利料みたいなものですね)で100万以下、納骨堂だとこの半額が相場みたいですが、首都圏では立地、区画の広さにもよりますが400~500万となる場合もあるそうです。(霊園・墓地検索サイトより)
お墓や宗教にこだわらないお弔いの方法
以前外国映画で「散骨」、いわゆる遺灰を海に撒くシーンが印象的だったのですが、日本でも従来のお墓や宗教にこだわらないお弔いの方法が徐々に広がっているそうです。
前出の無宗教霊園は特定の宗教・宗派を問わずに埋葬をしていますし、散骨の他にも、樹木葬、手元供養というものがあるそうです。
樹木葬とは、墓石の替わりに樹木を墓標とするもので、1999年に一関市の知勝院が里山保護を目的に始めたのが最初。現在は50cm四方程度と場所をとらないため、横浜市営墓地も樹木葬エリアを開設したそうです。
手元供養とは、特にお墓や仏壇にこだわらず遺骨を手元において自分流に供養する、という形。オブジェのような納骨容器に収めて部屋の一角におまつりする、遺骨の一部をペンダントに入れて肌身離さずに過ごす、あるいは遺骨自体の一部を加工して人工ダイヤモンドを作り、ペンダントや指輪に、という驚きの手法まで。
この「手元供養」という名称はNPO法人「手元供養協会」が命名・開発したのだそうです。昔は骨壷をどの墓所にも収めず手元に置いておくと奇異の目で見られたものですが、田舎のような人間関係・しがらみがなく、お子さんもいなくて子孫代々受け継ぐこともない、などという方が「従来の宗教、墓所は敷居が高すぎる」という時、一考の価値があるものかもしれませんね。
ちなみに散骨ですと、遺族が同行しない散骨代行で9万円程度(玄界灘)から、樹木葬は25cmx25cm区画を1人で使用する場合45万円程度(町田市の民間霊園)から、手元供養の場合は容器代金、というお値段。人工ダイヤモンドはお墓より高くなりそうですが、新しい永住の場が増えているのは事実のようですね。
参考文献 「手元供養のすすめ」 山崎譲二著 祥伝社新書
散骨事業 海星苑 http://umi.yu-nagi.com/
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