【 2009年 第 5 回 】金銭教育その11~修学旅行と”こづかい”~ こどもとお金
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール
私が住んでいる京都には、ほぼ年中…といっていいほど、全国各地から修学旅行の生徒たちがやってきます。
本来、一学校行事としての修学旅行は、ただ楽しい思い出づくりだけではなく、集団行動の旅行を通じてさまざまな経験をすることや、訪れる街の歴史や文化に対する見聞を深めるなど、日頃の学習につなげるための目的があって学校ごとに計画されています。
子どもたちにとっては、そんな堅苦しい目的はさておき、やっぱり思い出の一場面として楽しむことが先決!といったところでしょうか。
修学旅行に持ち物のひとつである「こづかい」。
子どもたちにとっては、友だちといっしょに買い物をすることはとても楽しい思い出のひとつとなるはずです。せっかくですから「お金の使い方」を学ぶ良い経験にしたいものですね。
修学旅行のこづかい
学校側から持っていく金額の上限は決められるようですが、平均的には、公立の小学校で3~4千円程度、中学校では1万円程度。
日頃からこづかいをもらっていて、ある程度お金を扱う経験がある子にとっても、1泊から数泊という短期間で子どもが自由に使う金額としてはかなり大きなものですね。
ですから、特に、一番上の子どもを初めて修学旅行に出す保護者にとっては、いろんな意味で心配のタネとなることもあるようです。
さらに、最近は、おじいちゃん・おばあちゃん、あるいは親戚の人などからも臨時のこづかいをもらう場合もあって、中には、学校のルールを超えて隠れて持っていく相談をする子どもたちもいるとか…。
ルールを破るのは、「こづかいをもらった人におみやげを買うためには、学校の上限では足りないから」などと言い訳をするようですが、家族旅行などの自由な旅行とは違った学校行事であること、限られた金額の中でやりくりすることを学ぶ機会でもあることなど、やはりきちんと規則を守らせるべきでしょう。
残念なことに、自分の子どもがルールを破ることを知っていても認めてしまう親もあるようです。
臨時のこづかいを渡した大人は、子どもたちに渡したこづかいの分に見合うおみやげを買ってきてもらいたいという思いからあげたわけではないはずです。「お金で買ったおみやげ」ではなくても「感謝の気持ち」を表すことはできるはず…と、子どもたちにきちんと伝えたいものですね。
修学旅行での買い物は良い経験に
実際の買い物タイムの場面についても、家族旅行とは違って、時間や場所に制限がつくことも多くなっています。限られた時間の中で、「今買うか買わないか」「何を買うのか」といった選択や決断が迫られるでしょう。子どもたちにとっては、その1つ1つがきっと良い経験となるはずです。
日頃こづかいを渡していない家庭や、親といっしょの買い物経験もあまりさせていない家庭などの場合は、出発前に、「誰に」「どんなものを」というリストをいっしょに作ってあげるとよいかもしれませんね。行く先の名産品にはどんなものがあるのかを、親子でネットを使って調べておくというのもおもしろいかも…。
ある程度、お金を使う経験をさせている場合には、思い切って子どもに任せてしまいましょう。
その方がきっと得られるものは大きいはず。
子どもたちが自分で買ってきたおみやげを広げながら、旅行のいろんな話を聞くことは親にとっても楽しみですね。
意外にうまくやりくりして全部を使い切らずに残してくる子。ここぞのチャンス!とばかりに財布をすっからかんにしてくる子。
家族や周囲の人たちへの思いやりを感じるおみやげを買ってくる子。自分の思い出になるステキなおみやげを見つけてくる子。
「あそこで先に買っておけばよかった~」とか「先に使いすぎて、あとで買いたい物が買えなくなっちゃった~」とかの失敗談を話してくれることもあるでしょう。
親の評価はなるべく控えましょう。
失敗も成功も、すべてが子どもたちの経験となって、良い思い出になるのです。
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