【金銭教育その12】子どもの教育費をどう考えるか①【2009年 第 6 回】

【 2009年 第 6 回】金銭教育その12子どもの教育費をどう考えるか① こどもとお金

 高原 育代(タカハラ ヤスヨ)プロフィール

子どもを持つ家庭にとって、教育費の負担は家計にとても大きなものとなっています。
特に、昨今の経済状況により、給与やボーナスのカットにより、親の収入が減少する家庭も少なくないことでしょう。
それでも、「いつ・どれぐらい必要なのか」ということがザックリでもわかると、ただ不安に思うだけではなく、それに対して準備や対策を立てていくことができます。

教育費の金額を知る

幼稚園・小学校・中学校・高等学校の間の、学校教育および学校外活動のための支出については、文部科学省が「学習費調査」として2年ごとに発表しています。
現在、発表されている最新のデータは平成18年度のものです。

教育費の負担がもっとも大きくなるのは、子どもが大学に進学した場合です。
現在、高校への進学率は97.7%、大学・短大への現役進学率は51.2%(文部科学省 文部統平成20年版文部統計要覧より)となっています。
子どもが希望した場合には、家計から他の費用を削ってでもその希望に応えてやりたいと思う親が多いのではないかと思います。

では、この時期にどれほどの費用が必要となるのでしょうか。
日本政策金融公庫による「教育費負担の実態調査(勤務者世帯)」が参考になるかもしれません。
日本政策金融公庫が融資した「国の教育ローン」を平成20年2月に利用した世帯に対して行った調査の結果です。

これによると、1人あたりの入学費用は、高校で48.9万円、大学で95.6万円。一方、在学費用は、1年間の合計で、高校で92.5万円、大学で150.4万円。
高校入学から大学卒業までにかかる費用は、こども1人あたり1023.6万円となっています。

教育費を知って準備する

こういった数字をみると、かえって負担感が大きくなるので見たくない…と思う方もあるようですが、逆に、教育費というのは、子どもがいれば必要なものと割り切って、前もって準備をすすめていくのがよいと思います。

子どもがいきなり高校生になるわけではありませんし、高校入学の時に1000万円が必要になるわけでもないのですから…。
それでも、子どもが小さいうちから準備を進めていても、途中のいろいろな事情により、進学の時点でどうしても費用が不足する場合もあると思います。

いざというときになって、ただ「ウチには余裕がない」と切り出せば、子どもが深く傷ついたり、あるいは親に対する気遣いから、自分の進路を無理にあきらめようとしてしまったりすることもあるのです。

かといって、親も自分たちの老後資金を準備していかなければならないこの時期に、教育費にすべてをつぎこむ必要もありません。

大切なのは、子どもが成長していく過程で、子どもの進路についても、それに対してかかる費用に関しても、きちんと話ができる関係を作っていくことではないでしょうか。

もちろん、親は、できる範囲での教育資金をコツコツと準備していくことも必要です。それに並行して、子どもが望む進路にはどれぐらいの費用が必要かという情報も必要です。どうしても、資金が不足する場合は、他にどんな手段があるのかといった情報収集をしておくとさらに安心です。

そうであれば、「進学するためには、ウチの家計ではこれだけが不足する。でも、大丈夫。こういう方法があるから…」と万一の場合にもあわてなくて済みます。

教育ローンを利用

たとえば、上で紹介した「国の教育ローン」を利用する場合。条件が合えば、年2.5%(平成21年50日現在)の固定金利で1人200万円まで借りることができます。
都道府県や市町村などによっては、低金利で教育資金を融資してくれる場合もあります。

奨学金の活用

また、独立行政法人日本学生支援機構(旧・日本育英会)のような「奨学金」制度を活用することもできます。奨学金には「無利息」と「利息付」の2種類があります。
http://www.jasso.go.jp/index.html

さらに、大学へ進学してから奨学金を活用することもできます。私立大学では独自の奨学金制度を設けている場合も多いですし、国公立大学でも授業料を免除してもらえる制度があるのです。

このように見てくると、何も親だけが教育資金を過剰に感じる必要はないと思いませんか?
もちろん、教育ローンや利息付きの奨学金は借金ですから、返済していかなくてはなりません。が、大学卒業後に子どもが自分自身の収入で返済していくことだって十分可能なはずです。

むしろ、自分の進学に必要な費用は自分で…となれば、学ぶ意欲も違ってくるのではないでしょうか。

次回は、「自宅外通学(下宿)」の場合の仕送り等について考えてみたいと思います。

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