【 2009年 第2回 】フランス人は本当に英語を話せないか? フランス気分
横川 由里(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール
2006年のEU首脳会議の席上で、当時のフランス大統領であるシラク氏が、フランス人代表が英語で演説したことに腹を立てて、退席してしまいました。
一国の大統領がこんな行動をとったことで、ますます “フランス人=英語嫌い” のイメージが定着してしまったようですが、大統領ではなく一般レベルではいかがでしょう。
日本人とフランス人の英会話
私はフランス在住12年。
ある日のこと、トレードマークの黒いサングラスを掛けて、パリのキャフェにいました。外見からでは日本人とはわかりません。
そこへ日本人新婚カップルがやってきて、隣へ着席。
日本人:(思いっきり日本語訛りの英語で)
「Excuse me!ホエア イズ ザ ピカソ ミュージアム?」
ギャルソン:「Pardon?(失礼ですが?)」
日本人:「ピカソ、ピカソ、ピカソ……」
これがなかなか通じない。そのうち通じて、
ギャルソン:(思いっきりフランス語訛りの英語で)「Ah Picasso! ターン レフト アット ザ セカンド ストリート アンド …… (2本目の道を左へ行って、それから……)」
日本人:「????エキスキューズ・ミー?」
ギャルソン:(フランス語訛りで)「ターン レフト アット ザ セカンド ストリート!」
日本人:「フランス語じゃわからないよね。フランス人が英語を話せないって本当だったんだ」
私:(心の中で)「……お互いに日本語訛りとフランス語訛りの英語だから、通じないのだわ」
たばこ屋さん
言葉が通じない気持はよくわかります。フランスに渡った当時“若気の至り”で、たばこを吸っていました。自動販売機なんてものは存在するはずもなく、たばこ屋さんへ。
銘柄はマルボロ(Marlboro)でした。この発音が本当にできないのです!“アール”が2つに“エル”まで入っています。
優しい(普通)人のバージョン、
店員さん:「マドモアゼル(当時はお嬢さん)、何がほしいの?言ってごらん。これ?」
私:「いいえ、もっと左、その下。その隣、それです。ありがとう!(このくらいは話せる)」
意地悪な人バージョン、
店員さん:「あなた何言っているのかわからないわ!次の人」
私「……」
抜かされてしまったこともあります。 必死にMarlboroの発音を練習しました。
比較的私たち日本人は、外国人が何か困っていると、一生懸命に聞こうとします。しかし、フランス人は何を言っているのかわからないと、すぐに諦めてしまう場合が多いのです。
以上は一例ですが、フランスは世界で一番多くの外国人観光客が訪れる国であり、英語が通じないわけはないのです。
レストランだって、免税店だって観光で稼いでいるのですから、英語がわからなければお金になりません。日本語のメニューだってあります。
フランス人の英語力
確かに英語を話せない人はいます。統計を見てみましょう。
【フランス人の英語力】
2006年1月 電話アンケート調査結果(ifoP) サンプル: 1,004人
若い人は学校で英語の教育を受けているので、まったくわからない人はわずか、6%です。
普通の大人でも34%とかなりの人が英語を理解することができます。
ましてやパリのような都市部では、お年寄りを除けば思ったよりも通じます。
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