【 2009年 第3回 】楽しいサマータイム フランス気分
横川 由里(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール
去年、洞爺湖サミットで話題に上がったサマータイム。
日本では反対意見のほうが多いようですが、いいことだってたくさんあります。
何といっても、フランスでは仕事が終わってから食事に行って、食事が終わったって明るいことです。
家中の時計を1時間進める3月最終日曜日
サマータイムの始まりは3月の最終日曜日の夜、寝る前に家中の時計を1時間進めておきます。そして、月曜日の朝、何事もなかったように、すべて世の中が1時間早く動くので、睡眠時間は1時間少なくなってしまいます。中には当然、無頓着者もいて仕事に遅刻する場合も……。
この時計の針をずらすのが、結構、手間がかかります。最近のDVDやインターネットは自動で変更されますが、私がいたころは、時計から、ビデオから、いろいろなものをいちいち変更するのです。どうやって変更するのか覚えていない場合だってあるので、困ってしまうこともしょっちゅう。
家の中だけでなく、外にある時計、たとえば駅や公園いたるところにある時計も変更しなければなりません。たった1日で変更できるはずもなく、数週間前から順番に変更。わからなくならないように、「サマータイム」と書いてある帯を巻きつけておきます。季節労働者にはいいけど、高いところに上るので、お年寄りには危険なお仕事です。
時計を変更する人件費
「サマータイムは省エネによい」との経済効果が話題となりますが、時計を変更する人の人件費がかかることを忘れてはいけません。企業にとっては、インターネット関連、ATMなどとても大きな出費になり、反対する気持ちもわかります。
本当に1番大変だったのは、お仕事です。当時、旅行会社に勤めていたのです。サマータイムはヨーロッパが「いっせーのーせ」変えるのが基本ですが、イギリスは1ヵ月遅れです。
イギリスとフランスの時差は1時間、イギリスのほうが遅いので、サマータイムになると、飛行機の到着時間がまたまた、1時間ずれるのです。
そのうえ、4月末には、イギリスがサマータイムに突入するので、また発着時間が1時間ずれる。ということで、ブリティッシュ航空、JAL、エール・フランスなどの時刻表も、そのつど新しくなり、表紙の日付を必ず確認しなければなりません。それでも、ミスは起こるのです。
反対に冬はどうでしょうか?
1月1日におけるパリの日の出時刻は、8 時 44 分、日の入時刻は17 時 4 分です。
つまり、9時近くまで真っ暗なのです!夕方だって5時には真っ暗。というわけで暗いうちに会社に着き、会社から出る頃にはすでに暗くなっています。
パリで仕事を始めたばかりのとき、ふと目覚めて窓の外を見るとまだ暗い、安心して寝なおしたら遅刻しました。慣れれば大丈夫なのですが、寝ぼけているうえに、長年の習慣は簡単には変えられません。
こんな生活をしていると、長くて暗いパリの冬が終わりを告げ、サマータイムになるといっぺんに明るくなったようで、心までウキウキしてきます。パリでは冬に太陽はめったに見ることができません。これから、夏のバカンスに向けて、いよいよ楽しい季節のスタートです。
最後にフランスへ観光旅行に行かれる方にアドバイス
まず、旅行料金だけで考えると、冬のほうがホテル代込みで10万円と安いでしょう。しかし、冬の行動範囲は、10時頃から5時までと、7時間ほど。お昼を食べると6時間もありません。
反対に夏は、旅行代金が高くなりますが、8時から夜10時過ぎまで行動ができるので、14時間、お昼を除いても冬の2倍以上行動できるのです。
旅行代金が高くとも、夏の間に行くほうがお勧めです。明るいので、ルーブル美術館をはじめ、いろいろな施設が遅くまで開館しているから、時間を有効に使うことができますよ。
どうしてもお金を節約したいのなら、サマータイムが始まり、3月31日までに日本を出発しましょう。
海外旅行の代金は4月1日を境に高くなります。
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