外貨投資のキホン【2010年 第9回】

【2010年 第9回 】 外貨投資のキホン 女性の投資

鈴木 暁子⇒ プロフィール

円高や円安の影響

3年前の夏、サブプライムショックのためそれまでジワジワと続いていた円安傾向が一転して円高に。その後リーマンショック、ギリシャショックなど、多くの“ショック”を経験し、先日とうとう15年ぶりに1ドル83円台をつけました。
ところで円貨で生活している私たち日本人に、円高や円安ってどのように影響してくるのでしょう?米ドルを例にみていきましょう。

円高は日本人にオトク

最近デパートやスーパーで「円高還元セール」をよく見かけませんか?円高になるというのは、たとえば1ドル=100円が1ドル=85円になった状態。言い換えれば1ドル100円を出して買っていたものが85円で買えるようになったということです。つまりこれまでは2,000円で仕入れていた20ドルの輸入ワインを1700円で仕入れられるので、その分値下げをして消費者を取り込む作戦。海外のブランド品を買う場合もしかりです。
このように外国製品を買う場合は、円高になると日本人の私たちにはオトク。でも逆に円安になると外国製品は値上げされる可能性も…。

さて、買い物という意味では円高になって買うとオトクということがわかりましたが、今度は通貨という視点でみてみましょう。

通貨の視点では

1ドル=100円の時、外貨預金に1,000ドルを預け、その後利息がついて1,010ドルになって円に戻す際、レートが同じだとすると10万1,000円。1ドル=105円(円安の状態)であれば10万6,050円。
1ドル=95円(円高の状態)であれば95,950円。同じ1,010ドルでも為替レートが違うだけで円貨での価値が違ってきますね。

このように為替レートの違いで発生する損益を「為替差益」や「為替差損」といいます。円貨でお金を預けた場合、収益は元本についた利息ですが、利息に加え、為替差益も狙えるのが「外貨投資」です。

「外貨を買った時より円安になってから円に戻せば為替差益を得られる」というしくみを考えると、15年ぶりの円高水準である今は外貨投資を始めるには良いタイミングでしょう。

為替手数料も含めて把握

注意したいのは、上記事例では理解しやすいように考慮しませんでしたが、実際は外貨を買ったり売ったりする時は「為替手数料」がかかるため、外貨を買った時と円貨に戻す時のレートがまったく同じですと為替手数料の分損をしてしまいます。実際の投資ではその分も含めて損益分岐がいくらかを把握することがポイントです。

ビギナーには外貨預金や外貨MMF

外貨投資の方法としてはさまざまな金融商品がありますが、ビギナーには外貨預金や外貨MMFがオススメ。

外貨預金は外貨普通預金や外貨定期預金がありますが、しくみは円の普通預金や定期預金と同じ。預ける通貨が外貨ということで、外貨を取り扱っている銀行で1通貨単位(米ドルであれば1ドル)から可能です。外貨MMFは証券会社の取り扱い。こちらは10通貨単位からが一般的です。

外貨MMFの分配金は外貨預金よりは少し有利。また為替手数料も外貨預金の半分程度です。ただし原則外貨のまま引き出せないので、頻繁に海外旅行に行くので外貨で引き出したい人には、増やすという目的では劣りますが外貨預金のほうが向いています。

このように目的や使い勝手を考えて自分に向いた商品選びをすることが大切です。また初めに述べたように、外貨投資の場合は、外貨ベースでの元本は増えたとしても、為替の変動でそれ以上の為替差損をこうむることも少なくありません。次回はこのようなリスクに向き合うためのコツをお話します。

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