【2010年 第 2 回】 自社が評価されているかどうかを知るためのポイント 銀行との上手な付き合い方
樗木 裕伸(オオテキ ヒロノブ)
今月は、第2回目として「自社が評価されているかどうかを知るためのポイント」の2つ目である融資条件についてお送りします。
融資条件とは?
主要な融資条件として、
「担保」
「貸出金利」
「貸出期間」
が挙げられます。
それぞれの条件には、関連性があります。基本的な関係は、次のようになります。
a.「貸出金利」と「担保」
担保増加⇒貸出金利低下(担保減少⇒貸出金利上昇)
b.「貸出金利」と「貸出期間」
貸出期間(短期)⇒貸出金利低下(貸出期間(長期)⇒貸出金利上昇)
c.「担保」と「貸出期間」
担保増加⇒貸出期間(長期)(担保減少⇒貸出期間(短期))
したがって、融資条件によって自社が評価されているかは、それぞれの条件を総合的に比較・検討する必要があります。
それではまず、「担保」についてみていきましょう。
「担保」とは?
担保は、債務者が万一返済できない場合の保険として設定するものです。通常では、担保物件の換価処分による債権回収は想定していません。それゆえ銀行の債務者へのスタンスが非常にわかりやすいと言えます。
例えば、銀行の貸出債権額が3,000万円に対して評価額として2,000万円しかない不動産担保であっても融資される場合があります(その場合でも担保設定額としては3,000万円となります)。これは、銀行がこの債務者の返済能力を評価している(無事に返済するだろうと思われている)ことを意味します。
一方、3,000万円の融資の申込み時に、5,000万円の評価額の不動産の担保を申し出た(その場合でも担保設定額は、債権と同額の3,000万円となります)としても、融資を断られる場合もあります。この場合、債務者の返済能力自体に疑念を抱いている(担保を処分して回収する可能性が高いと思っている)と思われます。
担保があるのになぜ貸さないの?と思われるかもしれませんが、担保物件を処分する手間とコストは、貸出による利息収入よりもはるかに嵩みます。債権回収の確率が低そうな場合は、最初から貸し出さないという結論になるわけです。
担保の種類
「担保」には人的担保と物的担保があります。
人的担保は、「保証」と呼ばれます。代表者や知り合いの人を「連帯保証人」として保証をつける場合や信用保証協会や金融機関の保証会社などが保証する場合があります。
物的担保には、預金、有価証券、不動産、売掛債権、火災保険など価値があって換金可能なものが、対象となります。中には、絵画などの美術品などを担保とする場合もあります。
「担保」には、担保される債権が特定されている種類もあれば、締結された金額と期間の範囲内で繰り返し発生する債務をすべて担保する種類もあります。いずれにしても法律行為ですのでしっかりと違いを理解しておくことが求められます。くわしい説明は、本コラムの目的と異なりますので、またの機会にゆずりたいと思います。
担保と貸出金利、担保と貸出期間
銀行は担保を取ることによって、現時点の審査で判断つきかねる融資案件であっても最終的な回収不能リスクを軽減することができます。したがいまして、その分貸出金利は、適用金利も低くなります。また、将来の業績下降へのリスク回避も可能になることから貸出期間を長くとることもできるわけです。
今回は、「自社が評価されているかどうかを知るためのポイント」として「融資条件」の1つである「担保」をご紹介しました。
次回は、「貸出金利」「貸出期間」について書いてみたいと思います。
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