【2010年 第 9 回】 自社が評価されているかどうかを知るためのポイント 銀行との上手な付き合い方
樗木 裕伸(オオテキ ヒロノブ)
銀行を選ぶ際に「目的別」に選ぶとして、どのような目的が挙げられるでしょう?
いろいろ考えられるでしょうが、ここでは、集金・送金・両替などの「資金決済や資金の取扱」のプロとしての機能、「融資」機能、輸入・輸出業務に不可欠な「外国為替」機能の3つの切り口で考えてみたいと思います。
資金決済・資金取扱
銀行は、日々の売上や仕入、経費の支払いなどお金の管理に不可欠です。
支払いに関しては、窓口で総合振込(紙ベース)でもOKですし、ファーム・バンキングと呼ばれる専用機やインターネット経由のパソコンで行えれば、基本的には事足りるでしょう。したがって物理的に近いに越したことはありませんが、特に銀行の制約はないといっていいでしょう。
一方、売上代金に関しては、お客様から振り込まれますのでお客様側から見た振込手数料を加味して選ぶ必要があります。
通常、振込手数料は、
同店送金(振替)<同銀行送金<他銀行送金
の順に高くなっています。
全国各地へ販売している場合は、地方にしかない地方銀行や信用金庫の口座よりも都市銀行の方が適していると言えます。
逆に全国を相手に活動している訳ではなく、地元に取引先が集中している場合は、相手先も口座をもっているであろう地元の有力地方金融機関が適しているといえます。
また、集金や両替などのサービスを必要としている場合には、フットワークの軽い信用金庫などが適していると言えます。
融資
融資を目的として銀行を選ぶ場合には、「銀行との上手な付き合い方 第1回」にあったように、まずはプロバー融資(制度融資でない銀行自前の融資)対応が可能な銀行を選び、さらに「信用貸」(無担保融資)対応を目指していきます。
あまり企業規模を大きくする気はないという方は、信用保証協会の保証付融資で十分という方もいらっしゃいますが、それでもプロパー融資をしてくれる銀行を選ぶことが重要です。
なぜなら企業が資金を必要とする場面は、事業規模が大きくなったときだけではありません。不渡りを被るなど業績悪化時にも資金は必要になります。通常の必要資金を銀行のプロパー融資で対応できていれば、信用保証協会付き融資の無担保融資の空き枠をいざという時に活用することができます。
したがって、どのような企業であっても銀行独自の融資であるプロパー融資対応をしてくれる銀行を選ぶことが大切です。
外国為替
輸出入業務を行っている企業は、外国為替に強い銀行を選ぶ必要があります。
通常、海外の銀行との資金決済は、コルレス契約という個々の銀行同士が契約を結ぶことでなされます。契約のない銀行間で資金決済する場合は、他の銀行で相手先の銀行と契約のある銀行を経由して決済することになります。
外国為替業務が強くない銀行では、いくつもの銀行を経由して資金決済することになり、経由した銀行がそれぞれ取扱手数料をとるため、トータルの手数料が嵩んでしまいます。
また、取扱手数料だけではなく、為替手数料も一般的には外国為替業務が強い(取扱高が大きい)銀行ほど為替手数料の優遇も期待できます。
さらに、海外に支店や事業所をもっている銀行は、現地の情報を豊富に持っています。輸出入業務だけでなく、現地進出などを検討される場合などは、貴重な情報源となるでしょう。
今月は、「銀行との上手な付き合い方」のポイントとして「目的に応じた銀行の選び方」をお送りしました。
もちろん1つの銀行に絞る必要はありませんので、目的に応じて銀行を使い分けることが上手な付き合い方と言えるでしょう。
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