悪質商法から身を守る① - あやしい勧誘の数々【2010年 第 3 回】

【 2010年 第 3 回 】悪質商法から身を守る① - あやしい勧誘の数々 ~消費者力をアップしよう

福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール

おすすめの社債販売の電話

2月のある日、我が家に一本の電話がかかってきました。
女性の声で、「おすすめの社債がある」というものです。

「利率が12%と高いので、買って損はないですよ。」
大手企業の社債の利率の多くは1%~2%程度。これに比べると高すぎることから既に怪しいことがわかりますが、少し前から社債販売の詐欺が増えていると聞いていましたので、どのように勧誘するのか探るため少しつきあってみることにしました。

勧誘員: 「元本保証ですから、銀行預金と同じと考えていただいて結構です。
3年持っていただくだけで利息が36万円になるんです。」
私: 「それはすごいですね。でも、債務不履行が心配です。」
勧誘員: 「いえ、元本保証の約束ですからその心配は全くありません。」
私: 「会社が倒産しても元本保証なんですか?」
勧誘員: 「はい、それは大丈夫です。お約束ですから。」
私:   「財務状況や格付けはどうなっていますか?今回の社債発行の目的は何でしょう?」
勧誘員: 「ええと・・、格付けというのはないんですが・・目的はあの、当社で資金を集めて運用をしていまして・・・」

その後もやりとりは続きましたが、社債の元本保証をうたいリスク説明もなし、という明らかな金融商品取引法違反に加え出資法違反の可能性もありという問題だらけのセールストークのオンパレードでした。何をしている会社なのかも最後まで教えてもらえませんでした。

株と違い、倒産しても債権者が優先的に弁済を受けられるのが社債の特徴ですが、この会社のように、担保のない社債の元本保証を約束するということは通常はありえません。

国民生活センターの調べによると、2009年度10月末時点の社債の販売勧誘に関する相談件数は、前年同月末時点と比べ約6倍と急増している模様です。私が電話を受けた会社は、1.金融機関が介在せず社債発行会社と直接契約する、2.元本保証を謳う問題勧誘、3.社債発行会社の実態がわかりにくい、という同センターが注意喚起するあやしい社債の特徴そのものでした。

社債は証券会社を通して買う方法が一般的ですが、発行会社が直接販売することもあります。後者の場合だと中途解約や転売が困難か不可能というケースが多くそれにまつわるトラブルも多いので注意しなければいけません。

あやしい○○商法

今回のあやしい社債販売は、電話勧誘商法の一つになりますが、そのほかにもあやしい○○商法というものは多く存在しており、それはある日突然私たちのところにやってきます。少し例を挙げてみます。

販売目的隠匿商法
「近くでレストランを開業することになり、ご挨拶に来ました」と言われたことはありませんか?本当に開業の挨拶だけという場合もあるでしょうが、挨拶というのは客に近づくための名目にすぎず、本当の目的は何万円もする食事券を売りつけることだった、という悪質なケースがあります。

点検商法
「このたび水道局の依頼でこの一帯の配水管工事をすることになりました。全戸一緒にやっていただくと大幅に値引きできるので、ご近所の皆さん同意されています。まずは点検させて下さい。」
「この一帯の」「皆同意している」というウソの説明をして、この辺り一帯が工事をする義務があるという錯覚を持たせ、訪問を断れないようにします。

水道局の依頼という公的機関の関係者を装う「かたり商法」、点検すると言って配水管が腐っているなどと言い不必要で高額な工事をする「点検商法」という悪質商法の手法がミックスされた手口です。

資格商法
国家資格に格上げになる前の最後のチャンスと言い、今なら講座受講だけで資格がとれると高い教材を売りつけるが、とった資格はいつまでもマイナーな民間資格のまま一向に国家資格にならずもちろん仕事もこないというものです。

「タダ、安い、儲かる」は疑って

その他、オレオレ詐欺やデート商法、マルチ商法など挙げたらきりがありませんが、これから気をつけたいタイムリーなものとしては地デジ詐欺や、住宅用火災警報器販売の詐欺などがあるでしょう。

「タダ」、「安い」、「儲かる」、「今がチャンス」などの言葉と「突然の訪問や電話」には、最初から疑ってかかったほうが良さそうです。

次回は、悪質商法への対処法をお送りします。

参考資料: 国民生活センターHP 報道発表資料

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