【 2010年 第 7 回 】ネットショッピング② ネットショッピングの落とし穴 ~消費者力をアップしよう
福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール
ネットゆえに起きるトラブル・・前回は消費者を守る特別なルール(電子契約法)についてお話いたしました。
今回はネットショッピングでトラブルが起きやすい思わぬ落とし穴を2つご紹介します。
確認メールを受け取った時が契約の成立時期とは限らない
ネットショッピングで申し込みをするとたいていの場合、業者から確認メールが送られてきますが、実はこの確認メールには少し注意が必要です。
確認メールが届かないから契約も成立していないと勘違いしてしまい、トラブルになるケースがあるからです。確かに、電子契約法では電子メールによる承諾の通知が注文者に届かなかった場合に契約が不成立とされることがありますが、これは「承諾の通知」を電子メールで送った場合です。
同法では、契約の成立時期を承諾の通知が相手に到達した時点(到達主義)としていますが、承諾の通知の方法を必ず電子メール等の送信によるものに限っているわけではありません。
業者が自動返信による承諾のメールを送るという方法でも、ウェブサイトの画面上で注文者が申込内容を入力し、それを確認画面で確認させた後、承諾しましたという「承諾画面」を表示させる方法でもかまいません。注文内容を人間の目で確認した上で担当者から承諾メールを送るという場合もあるでしょう。
つまり何を承諾の通知とするかによって、契約の成立時期が異なるのです。これをちょっと頭に入れておくと良いですね。
ネット通販では、返品条件をチェックする
テレビショッピングなどで、しばしば「○日間は返品OK!」という売り文句を耳にすることがありますが、これはあくまで業者が独自に設定した条件であって、クーリング・オフのように法律で決められているものではありません。
ネット通販は、クーリング・オフの対象外ですので注意しましょう。
平成21年12月1日施行の改正特定商取引法では、返品の可否・条件・送料負担者について何ら表示がない場合には、商品を受け取った日から8日以内であれば返品の申し出ができるようになりました。
逆に、「返品できません」とはっきり表示してある場合は返品できない原則です。返品条件については、“ご利用案内”や“利用規約”などを契約前にしっかり確かめておくことが大切です。
返品についての表示が極めて小さかったり、申込画面から何度もスクロールしないと表示されないなど、同法のガイドラインに沿わないと思われるわかりにくい表示をしているサイトは、利用を見あわせるくらい慎重であっても良いでしょう。
一方で、安易な返品にも注意が必要です。
手数料がかかったり、返品常習者に対しては業者から“取引辞退”されてしまうこともあります。一旦交わした契約は守る義務があるという基本を忘れないようにしたいものです。
楽しいネットショッピングのために、できること
利用案内を契約前や申込み前にしっかり読む、これだけでも多くのトラブルは防げます。
また、業者選びも大切です。
・電話番号や住所を明らかにしているか
・個人情報の扱いについての表示があるか
・セキュリティ対策(通信の暗号化等)が施されているか
などをチェックしましょう。
加えて、確認メールや確認画面は保存しておく、利用案内はプリントアウトして、ホームページが書き換えられても契約時の条件が分かるよう残しておくなど、ちょっとした対策が転ばぬ先の杖となります。消費者力をアップさせて、トラブルのないショッピングを楽しみましょう。
参考資料: 経済産業省 消費生活安心ガイド「特定商取引についての法律解説」
「電子契約法について」「電子契約法 逐条解説」
(免責事項)本コラムに掲載されている内容を利用する場合はご自身の判断と責任においてご利用下さい。
万一、本コラムの内容のご利用により直接的あるいは間接的に損害や債務が生じた場合でも、筆者は一切の責任を負いかねます。
この記事へのコメントはありません。