【2010年 第6回】 今日の相続空模様⑥~相続人になれる子、なれない子~ 家計コラム
平川すみこ ⇒プロフィール
子どもは第1順位の相続人
相続人になれるのは、配偶者と血族相続人です。血族相続人には、養子縁組をした法定血族相続人も含みます。血族相続人は、相続人になれる順番が以下のように決められています。後順位の者は、先順位の者がいない場合に限って相続人になります。
亡くなった方(被相続人)に子どもがいれば、第1順位で相続人になります。子どもは養子縁組をした養子(普通養子・特別養子)も含みます。養子については、前回(2010年5月)のコラムをご参照ください。
もし、相続人になるはずの子どもが、被相続人より以前に死亡している場合は、その子どもの子ども(被相続人の孫)が代襲相続人になります。その孫も以前に死亡していれば、その孫の子ども(被相続人のひ孫)が再々代襲の相続人に。そのひ孫も以前に死亡していれば、そのひ孫の子どもが・・・というように、代襲相続が行われます。
この子も相続人!?
子どもなのに相続人として忘れられがちな存在の方がいます。
それは、前配偶者との間の子ども(例1の子X)です。
離婚した前配偶者が子どもの養育権を持ち、長年会うこともなくまったく音信不通であったり、前配偶者が再婚し、子どもがその再婚相手の養子となっているような場合、その子どもの存在を忘れてしまったり、縁が切れて相続人ではなくなっていると思いがちですが、相続人なのです。
遺産分割協議の際には、相続人全員の合意(遺産分割協議書等への署名・押印)が必要になり、一人でも欠けていると遺産分割ができなくなってしまいます。
前配偶者と間の子どもがどうしているか、もしその子どもがすでに死亡している場合は、この子どもの子(例1のXの子Yと子Z)が代襲相続人になります。生前中にきちんと把握しておきたいものです。
相続人になれない子どもとは?
では、子ども(代襲相続人含む)であれば、相続人になるのでしょうか?
子どもであっても相続人にはならない場合があります。それは、次のような場合です。
- 子どもの配偶者
子どもの配偶者は相続人にはなりません。
- 配偶者の連れ子
婚姻の相手方が結婚暦のある方で、お子さんを連れて再婚された場合。実の子同様だと思っていたとしても、養子縁組をしない限りその子は相続人ではありません。
- 養子縁組以前に生まれた養子の子
養子縁組をした養子が先に死亡した場合、その養子の子どもであっても代襲相続人にならない場合があります。それは、養子縁組する以前に生まれた子どもです。<例2>の場合、Bの子Yは、被相続人と養子Bが養子縁組する以前に生まれているので、被相続人の代襲相続人とはならないのです。(Bの子Zは養子縁組後に生まれているので、被相続人の代襲相続人になります。)
- 婚姻関係のない女性(内縁の妻)と間の子
被相続人が女性の場合は、婚姻関係のない男性(内縁の夫)との間の子どもは、その出産の事実(戸籍への記載)で親子関係が確認できるので、何もしなくても相続人になります。
一方、非相続人が男性で、婚姻関係のない女性(内縁の妻)との間に生まれた子どもは、被相続人がその子どもを「認知」していないと、相続人とはなりません。
認知は遺言ですることもできます。ただし、生きている間は、子どもがいることを家族に隠しとおしておいて、その子どもを認知すると書かれている遺言を家族の方が読むときの心境を鑑みると、やはり生前中に家族に子どもの存在を打ち明け、認知をしておかれることをおすすめします。
なお、婚姻関係のない男女の間の子どもは、血のつながりがある実子であっても「非嫡出子」となり、相続分は「嫡出子」(婚姻関係のある夫婦の間の子ども)の半分とされています。
相続においては、誰が相続人になるのかはとても重要です。特に離婚・再婚をされている場合や婚姻をせず子どもがいらっしゃる場合は、親族関係が複雑になります。生きている間にしっかりと自分の相続人は誰になるのか、相続分はどうなるのかを確認し、死後にもめごとが起きないように配慮しておきたいものです。
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