不動産投資のリスク①【2010年 第4回】

【2010年 第4回 】不動産投資のリスク① 不動産投資

大倉 修治⇒ プロフィール

不動産投資の市場リスク

投資商品を選ぶときは、その投資商品が持ついろいろなリスク(収益のブレ=不確実性があること)を事前に押さえておくことが大事です。不動産投資には、他の投資商品にはない特有のリスクがあります。事前にどんなリスクがあるかを把握し、それを見込んだ上で投資するかどうかの判断をしていく必要があります。今回は、不動産投資の市場リスクについて触れていきます。

マーケットの環境による収益悪化

不動産投資の収益の源泉となる賃料や不動産の価格は、不動産を取り巻くマーケットの環境(市況)の変化などによって変動することがあります。その結果、不動産投資によって得られるインカムゲインやキャピタルゲインに“ブレ”が生じ、場合によっては収益(リターン)が悪化することがあります。

具体的には、景気が悪化することなどによって、投資対象となるオフィスや住居に対する需要が減り、価格や賃料が下落したり、空室率が上昇したりすることがあります(もちろん、これとは逆のことも起こり得ます)。

空室リスク

後者の借り手(入居者)がいなくなり、家賃収入がなくなることを「空室リスク」といいます。通常、将来にわたってずっと家賃が途切れることなく入ってくる(=常に入居している)ことは考えにくいです。ですから、不動産投資の判断をする際には、空室になってしまう(=家賃収入がなくなる)確率を、ある程度(年間5~10%程度)見込んでシミュレーションを立てておく必要があるでしょう。

一括借上

この空室リスクを避けるために、主にマンションに対する投資では、「一括借上」といったシステムがあります。このシステムは、入居中・空室に関わらず家賃収入を保証(家賃保証)したり、入居者の募集やトラブルの解決や家賃を滞納している人への対応などの管理業務を行うというものです。家賃収入のうちの一定割合を支払うことなどによって利用することができます。

ただし、空室リスクを避けることができる代わりに、家賃収入のうちの一定割合を支払ってしまうため、手取り収入は少なくなり、投資としての利回りは下がってしまいます。

不動産投資は他の投資と比べて、投資家自身の裁量を働かせる余地が大きいことがメリットの一つといえます。不動産投資に期待する収益、投資した物件に家賃保証してもらう必要があるかどうか、保証契約の内容などをよくふまえた上で、このシステムを利用するかどうかを決めた方がよいでしょう。

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