【2010年 第6回 】不動産投資の事業収支計画の立て方① 不動産投資
大倉 修治⇒ プロフィール
不動産投資は、一つの事業といえます。“不動産事業”を成功させるためには、事前に収支計画を立てて、シミュレーションを行い、採算性についてよく検証することが重要です。今回は、現物不動産投資を前提に、事業収支計画の立て方、考え方について見ていくことにします。
(1)事業の資金計画を立てる
まず、不動産投資に必要な資金総額(総事業費)を見積もった上で、それをどのように準備するかを検討します。具体的には、自己資金(手持ち資金)とローン(借入金)の割合をどのようにするかを決定していきます。
投資期間中の資金繰り面での「安定性」を考えると、自己資金の比率を高くした方が無難といえます。しかし、「収益性」は、レバレッジ効果が得られない分、低くなることが想定されます。
期待する収益(リターン)と借入金の比率を高めることによる事業の不確実性(リスク)とのバランスや自己資金投入後の金融資産の状況を勘案した上で決定するとよいでしょう。
なお、融資の条件については、個人の属性(収入、職業、家族構成、その他の借入れの状況など)や投資する物件の担保評価、収益性、所在する地域などによって変わってきます。
(2)「不動産所得」と「キャッシュフロー(現金収支)」を計算する
現物不動産投資で得た家賃収入等は、「不動産所得」として扱われ、家賃収入等そのものではなく、「収入(家賃収入等)」から「実際に支出する必要経費」と「減価償却費」(実際の支出を伴わない費用)を差し引いて計算します。
一方、「キャッシュフロー(現金収支)」とは、家賃収入等から「実際に支出する必要経費」と「借入金元本返済額」、「税額」(不動産所得がプラスになることなどに伴う)を差し引いて計算します。
「不動産所得」との違いとしては、不動産所得の計算式に“減価償却費”が含まれるのに対し、キャッシュフロー(現金収支)の計算式にはそれが含まれず、代わりに“借入金元本返済額”、“税額”が含まれています。
・不動産所得
=収入-実際に支出する必要経費-減価償却費
・キャッシュフロー(現金収支)
=収入-実際に支出する必要経費-借入金元本返済額-税額
=不動産所得+減価償却費-借入金元本返済額-税額
「キャッシュフロー(現金収支)」が、最終的に手元に残るお金ということになります。
今回は以上です。次回は事業収支計画のチェックポイントについてお話ししたいと思います。
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