【 2010年 第 6 回 】共用部分への私物の放置 マンションの暮らしを快適に
福本 喜保(フクモト ヨシヤス)
共用部分は
共用部分は、共用住宅において居住者全員で使用することができるところです。
共用部分には、法定共用部分と規約共用部分とがあります。
法定共用部分
法令上当然に共用部分(廊下・階段・玄関ホール等)とされる部分です。
規約共用部分
管理規約により共用部分(管理事務室・集会室・管理用倉庫等)とされる部分です。
専用使用部分
区分所有者または第三者が共用(部分・敷地)を排他的に使用できる権利【専用使用権】がある対象部分であります。バルコニー・ベランダ・テラス・ポーチ・専用庭等は共用部分であり、専用使用する権利があるところです。
私物放置の事例
廊下・階段踊り場・階段下等にタイヤ等の私物を放置、廊下等に自転車等を駐輪、ベランダ・バルコニーの隔て板(仕切り板)そばに物置等を設置する。
駐車場に私物を保管するなど放置されるケースが散見されます。
特に十分に注意を払う必要がある事例は、仕切り版付近に物置等を置くと避難経路を遮断することになり、消防法に抵触することになります。
よくある事例は、ベランダ・バルコニーの手摺に植木鉢をセッティングしていることが見られますが、落下する危険性もあり、水やりをすることで水滴が階下の居住者に迷惑をかけることになります。また、床は防水仕様になっていない所がありますので、散水、放水には階下に漏水しないように注意が必要になります。
悪質な具体的事例
7階の角住戸のポーチ(門扉付き)に荷物入り段ボール箱がぎっしりと背丈の高さで横一杯に積まれています。門扉を開けるスペースと人が1人なんとか通れるほどのスペースしか開いておりません。また、ポーチ奥には、ガス・電気のメータBOXがありますが荷物でぎっしりのため、BOXの扉を開けるのも一苦労の状態です。チラシ・広報誌などが無造作に置かれており、風が強い時は、共用廊下や他人のポーチに飛んでいることがあります。防火・美観(資産価値)の観点からも好ましくない状態であります。理事会より文書にて注意分を配布し警告するが一向に改善されません。使用細則にはポーチに荷物を置いてはならないなどの制限は、特に明記されていません。
ポーチ・メータBOX・アルコープは共用部分に該当し、区分所有者が専用に使用する権利が規約から認められた部分です。使用に当たっては、敷地・共用部分はそれぞれの通常の用法に従って使用しなければなりません。
ポーチ等に私物を置くこと、避難通路の障害になる物をおくことは敷地及び共用部分での当然の禁止事項です。
消防署の査察の際、このようなことがあれば警告を受けます。こうしたことが他の住戸にも蔓延してくると管理組合として示しがつかなくなりますし、マンションの美観を損ね、資産価値を下げます。
対処方法
管理組合が文書を投函しても改善しない場合は、早急に管理組合の理事長と役員が直接注意する必要があります。区分所有者若しくはその同居人、又は賃貸人が法令、規約または諸規則に違反したとき、または当マンションにおいて共同生活の秩序を乱す行為があった場合は、管理組合理事長は理事会の決議を得て区分所有者に対して是正を求める指示や警告ができます。
それでも是正等のため必要な処置を講じなかった場合、理事長は理事会の決議を経て、行為の差し止め、排除又は原状回復のための必要の請求に関し、管理組合を代表して訴訟その他の法的処置を講ずることができます。
対策のポイントは、ルールをキチント守っていくために広報・掲示等で徹底的情報の伝達を行い、ルール違反があった場合は初期段階で注意・勧告し、早期に違反行為を摘み取ることが重要です。
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