【 2010年 第 9 回 】専用使用部分(共用部分)の使用方法 マンションの暮らしを快適に
福本 喜保(フクモト ヨシヤス)
共用部分の専用使用部分
住戸に接しているバルコニーやポーチ、室外機置き場、メーターボックス、網戸などです。玄関扉に関しては扉自体が共用部分なのですが、扉の内側の内装部分は専有部分になります。扉の外側は共用部分ですので自由に変更できませんが、扉の内側の塗装等は自由にできます。また、玄関扉の鍵も専有部分ですので、区分所有者が費用を負担してシリンダーの交換はできます。
専用使用部分の修繕費用の負担は誰か?
共用部分の修理に関しては管理組合が行わなければならないですが、「共用部分の専用使用部分」の修理に関して「通常の使用」に伴う場合には、共用部分でも専用使用権を有している区分所有者が負担しなければならないのです。
バルコニーの清掃は、その住戸の居住者がしなければならないし、網戸が古くなってたるんできたかといって、管理組合に修理をお願いすることはできません。
空き巣に入られて、空き巣に窓ガラスを割られた場合は「通常の使用」に伴うものではないので管理組合で負担することになります。(共用部分の保険で対応)
廊下に面した玄関
玄関前に子供用自転車、ベビーカー、置物等をおいている場合、廊下は避難通路の為、片側廊下の場合有効で1,2mの幅が必要であり、それを妨げる物の設置は避難上問題となります。当該住戸の入居者が了解しても避難通路は必要であります。
アルコープ・ポーチの玄関
廊下から数メートル後退させた位置にある玄関まわりをアルコープといいます。玄関扉を開けた時に共用廊下から玄関内部が丸見えになるのを防ぎ、戸建住宅の感覚を取り入れるための一手法です。アルコープ・ポーチは専有面積には含まれず、法的にはマンションの「共用部分」に位置づけられ、その住居の区分所有者に使用が認められた専用使用部分となります。
管理規約や使用細則に特に認められている場合を除き、アルコープ・ポーチに自転車を置いたりその他、私物を置いたり、物置を設置するなどの行為はできません。植木鉢やプランターなどをおくことも制限されるのが一般的です。
アルコープ・ポーチは、ほとんどの場合避難通路になっていますので、自転車を置いたり、その他の私物を置くと住人の通行や災害時の避難の妨げになり、マンションの美観を損ねます。
また、古新聞や灯油缶を放置することは、火災(放火)の危険もあります。また、エントランスからアルコープ・ポーチに至るまでの間に
エレベーターや共用廊下に傷をつけたり破損させたり、泥を持ち込んで汚れたりする場合もあります。子供さんが自転車に乗ったまま共用廊下を走り、他の居住者と勢よいよくぶつかるという事故も想定されます。
このように、ちょっとした不注意が住居の平穏を害することになります。
では、まったく物を置いてはいけないのかということになりますが、通常の用法にしたがったのであれば、問題ないと思われます。
例えば、比較的小ぶりな植木や牛乳箱のように美観を害す恐れがなく、簡単に取り除くことができるものなどが考えられます。
バルコニー
避難通路の確保が必要となる場所でありますので物品等を置くことを避けなければなりません。特に隔て板(パーテーション)際に物置等を設置することは 絶対に避けなければなりません。
隣の住人が隔て板を破壊して避難するケースまたは隔て板を壊して隣のバルコニーに避難する際に障害とならないようにしなければなりません。
また、避難ハシゴが設置されているバルコニーの所は物品等を避難ハシゴ蓋の上に物を置かないようにしなければいけません。
消防署の査察時に指摘され、注意・勧告を受けます。
メーターBOX・パイプスペース
ガス・水道機器類が設置されている場所です。しかし、物置として使用しているケースがありますがメーター類の検針等ができないこともありますので物品等を置かないようにする。
勝手な専用使用部分の使用はマンションのモラルの低下を招き、トラブルの発生を生み、管理組合の運営に支障をきたすことになります。
規約、使用細則等をよく確認のうえ使用することがポイントです。
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