【 2010年 第 4 回 】「ハッピーライフ」は自分ひとりのものではありません ”終わり”ではない「エンディングノート」
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール
エンディングノートのテーマ
前回ご提案したような4部の構成でノートを書いていく場合、1から3部は「自分と向き合う」ことを、4部は「“もしも”に備える」ことを、それぞれテーマとしています。
1から3部は自分のため、4部は自分を支えてくれる大切な人たちに自分のメッセージを伝えるためと、誰のためにノートを書くのかという点で違いがあるように見えます。
が、大切な人たちに伝えたいメッセージというのは、自分と向き合うことによって気づくことが土台になって生まれるものだと考えると、全体として、自分もハッピーに、自分と関わるみんなもハッピーにという目的を果たすために必要な構成ではないかと思っています。
なぜ、大切な人たちに伝えたいメッセージが、“もしも”に対する備えと結びつくのでしょうか。
もしもの内容は千差万別
誰しも“もしも”というマイナスのことはあまり考えたくはないものです。
それでも、人生の中で、思いもかけない事態が起こってしまうことは防ぎようがありません。
ならば、万が一ある事態が起こってしまった時の備えとして、自分の大切な人への気持ちをメッセージとしてノートに書いておけば、家族や周囲の人たちへのダメージを減らすことができます。
“もしも”と一口に言っても、ノートの主人公となる「あなた」や「あなたの大切な人」の状況、つまり年齢・健康状態・家族の人数や関係などによって、想定される事態も千差万別です。
自分自身はまだ若くて健康状態に不安がない場合でも、事故や災害などによる“もしも”という事態はありえます。ましてや、家族が高齢であったり、病気がちであったりすれば、なおさらのことです。
第1回でも触れたように、高齢化とライフスタイルの変化により、どの世代においても一人暮らしの世帯が増えています。
なかでも、高齢者の一人暮らし世帯は増加の一途をたどっています。自分の親が離れた場所で一人暮らしをしている場合、健康状態や暮らしの状況などが気にかかるものの、日々の自分の暮らしに追われている人は多いかもしれません。
一方、親が子どもの一人暮らしを心配するケースもあります。大学生の子どもが一定期間の一人暮らしをする場合もあれば、そのまま就職してバリバリ働き一人暮らしが続く場合もあります。今どきは携帯電話があるので、すぐに連絡がとれて便利なようでいて、案外イザというときに、子どもの交友関係や日常生活の様子などがよくわからないといったこともあるようです。
また、結婚して家族がいるからこそ、働き盛りの世代が単身赴任で一人暮らしとなる場合もあれば、離婚による一人暮らしとなる場合など、さまざまな理由によって一人暮らしが増えているのです。
一人暮らしをしている人は、“もしも”の備えをしておくことの重要性は特に高いといえるでしょう。
暮らし方にかかわらずきちんと自分のメッセージを伝える
では、夫婦や親子など、家族といっしょに暮らしている人であれば、“もしも”に対する備えは必要ないと思っていませんか?
家族のダレかが、急な病気やケガによっていざ入院!となった場合に、お互いのことを知らなくて、日常生活の場面で困った事態が発生…なんていうことも意外に多いものです。
暮らし方にかかわらず、意外にきちんと伝える機会がない、自分のメッセージ。
ノートに書くことで、まずは自分自身を整理し、大切な人に伝えるための一歩を進めてみませんか?
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