「時間軸」という切り口で自分と向き合う①~「私の『これまで』」編【2010年 第 5 回】

【 2010年 第 5 回 】「時間軸」という切り口で自分と向き合う①~「私の『これまで』」編 ”終わり”ではない「エンディングノート」 

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール

最初に書くことは

自分の“棚卸”のための一つの提案としての「ハッピーライフノート」。
その目次は4つの章で構成されています。

1 私の「これまで」
2 私の「今」
3 私の「これから」
4 もしもの時のために…

1から3の部分は、「時間軸」という切り口で自分と向き合う構成となっています。
過去の自分をふり返り、過去によって作られた現在の自分を見つめることによって、未来の自分をどうしていきたいか、そのために必要なことは何かを考える。
そういった流れになっています。

とにかく「書き始める」ことが大切なこのノートですが、「自分と向き合う」となると、何だか重たく感じてしまうかもしれません。

何事も「まずやってみる」という行動、つまり“最初の第一歩”のハードルを越えることが、案外むずかしいということはよくあるものです。
そこで、子どもの頃、新学期にまっさらなノートをおろす場面を思い出してみてください。

最初にやったことは何でしたか?
まず、「自分の名前」を書いたのではありませんか?

このノートの最初のページも、「自分の名前」から書いてみることをオススメします。

ごく当たり前のようですが、自分の名前を書くという行為は、自分の物であるという愛着への第一歩であり、不思議と気持ちが引き締まる思いがします。
名前の次には、住所や生年月日・血液型など、考えなくてもスラスラと書けるような自分の基本情報を記していくとよいでしょう。
そのあと、学歴や職歴、取得した免許・資格、特技・趣味など、履歴書を記載する場合に書き込むような項目について、自由に≪私のプロフィール≫を書き綴っていってください。

自分の“原点”さがし

これまでの自分をふり返る目的は、今の自分へとつながる、自分の“原点”さがしのようなものといえるでしょう。
現在の自分に至るまでの「自分のあゆみ」をふり返ってみると、日頃忘れてしまっている大切なことに気づくことができるかもしれません。

≪私の思い出≫と≪私のお気に入り≫という2つの観点で、思いつくままに自分をふり返ってみてはいかがでしょうか。
そうはいっても、「さぁ、あなたの思い出をノートに書き綴ってください」と言われて、自分の何十年の道のりがどんどん出てくる人は少ないでしょう。

私の思い出を書き綴る

≪私の思い出≫を書き綴る際には、「時間軸」という数直線の平面的な切り口に、「場所」や「人」という切り口を加えると、思い出が立体的なものになってくると思います。

「時間軸」という切り口も、<生まれてから卒業まで>と<社会人になってから>、つまり、親や家族によって守り育てられていた前半の時代と、自立してからの後半の時代に分けてみます。

前半の時代を切り取るには「幼い頃」「小学生の頃」「中学生の頃」「高校生の頃」など、学校生活を基準にした時間軸が書きやすいのではないでしょうか。
後半の時代は、「20代」「30代」…といった自分の年齢による区切りが書きやすいかもしれませんね。

ヨコ軸としての<前半><後半>の区切りに対して、タテ軸として、「私」「家族」「友達・仲間」「その他(世の中の出来事など)」を加えてマトリックス的に考えると、どんな時代にどんなことをしたか、考えていたか、どんなことがあったのか…など立体的にいろいろと思い出しやすいのではないかと思います。

例えば、「小学生」の頃をヨコ軸として、「夢中になっていた遊びは?」「思い描いていた夢や希望は?」などについて自問自答していきながら、自分自身について思いつくままに書き出してみましょう。
さらに、同じ時代をふり返るにしても、その頃家族に起こった出来事、仲良しの友達との関わりなどが加わればどんどん思い出は広がっていくことでしょう。

また、物心がついてからの思い出には、社会的な事件やニュースなどが結びついていることも多いものです。そういったことから「あの頃の自分は…」とふり返ってみるのもおもしろいかもしれません。

こういった≪私の思い出≫のページの場合、「時間軸」という一本線で書かなければ…と思うと案外書きにくいものです。
だからこそ、タテとヨコの表形式にして、どこからでも思いつくままに埋めていきやすい工夫があると便利だと思います。

思い出という自分だけの宝物を、形式にとらわれずに存分にふり返ってみると、意外な“気づき”が得られるのではないでしょうか。

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