【 2010年 第 10 回 】エンディングじゃないノートだからこそ、今を大切に②~自分の「身体」に関すること ”終わり”ではない「エンディングノート」
高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール
身体の情報、わかりますか?
突然ですが、あなたの身体に関する情報は、何を見ればわかりますか?
例えば、かかりつけの病院のカルテ、と答えるかもしれません。
いわゆるカルテと呼ばれる診療録の保存義務期間。医師法という法律によって決められているのは、意外に短くて5年。病院・診療所によっては、それより長い期間保存している場合もありますが、5年以上前の記録を尋ねた時に、もう処分してしまったと言われても仕方がないのです。
やはり、自分自身の身体に関する情報は、自分が一番よく知っているはず。
でも、案外それを形にしておくということはむずかしいことかもしれません。
あえてノートに自分の身体に関する情報をノートにひとまとめにしておく、そんな機会を作っておくことは、今後のあなたのためにきっと役立つはずです。
病院・診療所の受付で、最初に渡される問診票。紙の両面にまで並んだ質問にビックリしたことはありませんか?
これまでにかかった大きな病気やケガ、手術・薬のアレルギーなどの有無やその時期…かなり細かいことまで尋ねられて記入に苦労したこともあるかもしれません。
それほど大した病気やケガではない場合は「面倒だなぁ」と思いながらも、ひとつひとつ思い出しながら記入していけばよいですが、意識がハッキリしないような状態での受診ともなれば、家族がその役割を果たさなくてはなりません。
親や子どもという一番身近な関係であっても、一緒に生活しているとも限りません。そんな細かい情報まできちんと把握しているかと言われると…というのが現実ではないでしょうか。
ノートに情報がひとまとめにしてあれば、いざというときに助かりますね。
イメージしやすい母子健康手帳
具体的にイメージしやすいのは、お母さんのお腹に赤ちゃんができると交付される「母子健康手帳」。
この手帳には、妊娠から出産まではもちろんですが、その後も、予防接種や病気の記録などを残していくことができるので、実はとても貴重な記録ノートなのです。
(私の母は、結婚するときに私の母子健康手帳を持たせてくれました。自分の子どもたちにも独立するときには同じようにしてやりたいと思っています。)
その後、学校生活を過ごすようになると、「健康の記録」といった形で、新学年には親が子どもの身体の情報を記入し、学校で測定した身長・体重の記録や健康診断の結果などを記録したものを学年末に親に返してくれることが多いようです。こういったものも蓄積していけばやはり成長の記録になるものです。
でも、大人になって日々元気に過ごしていると、なかなか定期的に身体を振り返ったり、情報を管理したりすることができなくなってしまいます。
身体のどこかが痛いとか、調子が悪いという状態になってみてはじめて、日頃の健康のありがたさを知るということは誰でも経験することではないでしょうか。
自分自身のため身体の情報をひとまとめにしておく
一定の年齢になると、病院にかかる割合は当然増えてきます。
かかりつけの病院の名前・受診科目・連絡先、常用している薬や期間などについて、ノートに書き出してみるとよいですね。
また、健康診断の結果の数字などについては、ノートに貼り付けていくというやり方で続けていきやすいのではないでしょうか。
医療の技術がいくら日進月歩といっても、受診する人の情報がなければ、治療も薬も効果が出ないこともあります。
自分の身体の情報をひとまとめにしておくことは、誰のためでもない、自分自身のためなのです。
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