【 2010年 第 5 回 】世界の最高齢記録はフランス人 フランス気分
横川 由里(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール
長寿で大損をした夫婦
フランス女性のジャンヌ・ルイーズ・カルマンさんは、1825年2月21日生まれ~1997年8月4日没。公式な記録史上もっとも長生きをした人物で、なんと122年と164日間生きたのです。
長寿はとても喜ばしいことですが、カルマンさんが予想を超えて長生きをしたために大損をしてしまった夫婦がいました。
その理由は“リバースモーゲージ”にあったのです。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは、もともと18世紀にフランスで始まったシステムで、高齢者が家を担保にしてお金を借りることをいいます。
リバースは「逆」という意味で、カードゲームの「UNO」において、リバースカードがでると、逆回りになるのはご存知ですね。
モーゲージは「担保」という意味で、家を担保にしてお金を借りることをいいます。
リバースモーゲージはすでに家を保有している人が自分の家を担保にして、毎月、一定額の融資を受けるローンを指します。
お金を借りるといっても返済の必要はなく、その人が死亡したときに家を引き渡すことにより契約は終了します。
ちょうど住宅ローンの逆の流れをイメージしてみましょう。お金を銀行に返すのではなく、銀行に借りていくのです。別名「逆住宅ローン」ともいいます。
個人でも契約できるリバースモーゲージ
日本では、金融機関や自治体がリバースモーゲージを行っている場合が多いのですが、フランスにおいては個人も行うことができます。
1965年、ジャンヌ・ルイーズ・カルマンさんが90歳のとき、当時47歳のフランソワ・ラフレーさんとリバースモーゲージを契約。
普通に考えれば10年分も支払えば、カルマンさん家はラフレーさん夫妻のものになるはずでした。
ところが、フランソワさんは1995年に77歳で他界。残された妻が夫に代わってカルマンさんに約束した金額を支払い続けなければならなくなったのです。
仮に1ヵ月7万円だとしたら、1年で84万円。10年で840万円。
カルマンさんは契約後32年6ヵ月間生存していたため、ラフレーさんが払った金額は2,730万円。相場の2倍以上の金額だったそうです。
契約とは非情なもので、カルマンさんが110歳で施設に移った後、自宅に住まなくなったとしても「死んだら引き渡す」契約だったため、空き家になっていてもお金を支払い続け、なおかつ、その家に住む権利がないラフレーさんの心情は、想像を絶するものがあります。
この記事へのコメントはありません。