【2011年 第5回】新 商品先物取引のしくみ 投資コラム
三次 理加(ミツギ リカ) ⇒プロフィール
商品先物取引の仕組み(1)立会時間、上場商品、限月
前回までは、商品先物取引の特徴について説明しました。
今回からは、実際に取引を始める際に必要となる、商品先物取引の基礎知識や仕組みについて、2回に分けて説明しましょう。
○上場商品
第3回で説明したように、2011(平成23)年4月現在、国内には商品取引所が3か所あります。東京工業品取引所(以下、東工取)、東京穀物商品取引所(以下、東穀取)、関西商品取引所です。現在、3取引所合計で述べ29商品が上場されています。
また、異なる取引所に同じ商品が重複して上場されていることがあります。たとえば、小豆は、東京穀物商品取引所と関西商品取引所の双方に上場されていま す。このような場合、一般的には、たとえば「東京小豆」「関西小豆」のように、商品名の前に取引所名をつけて区別します。なお、これら重複する商品は、た とえば取引単位などの取引要綱が取引所により異なることがあります。
○限月
前回、説明したように、商品先物取引において、決済の最終期限に当たる月を「限月(げんげつ)」といいます。商品先物取引では、限月毎に値決めが行われます。
限月は、原則として6本設定されています。たとえば、東京工業品取引所の金標準取引(以下、東京金)は偶数月のみで設定されています。今が4月だと仮定 すると、決済期限が一番近い限月から4月、6月、8月、10月、12月、翌年2月となります。つまり、同じ東京金でも限月の数、6つの価格が存在すること になります。限月は、東京金のように偶数月だけで形成されるものだけではなく、奇数月や連続月で形成されるものもあります。
また、限月は、ある一つの限月が納会日(=最終取引日)を迎えて消滅すると新しい限月が誕生する、という仕組みになっています。たとえば、東京金の場 合、今年の4月限が納会日を迎えて消滅すると、翌年4月限が誕生します。この新しい翌年4月限のことを「新甫(しんぽ)」、新甫が誕生する日のことを「新 甫発会日」といいます。つまり、ある一つの限月が存在する期間は、新甫発会日から納会日までとなります。この新甫発会日並びに納会日は商品により異なりま す。
○立会・売買仕法
取引所で売買が行われることを「立会(たちあい)」といいます。立会は、原則として、お昼休みを間に挟み、午前と午後に分けて行われます。午前の立会を 「前場(ぜんば)」、午後の立会を「後場(ごば)」と呼びます。ただし、東工取と東穀取は前場・後場制を廃止し、日中立会・夜間立会という区分になってい ます。
立会は土日祝祭日、年末1日、年始3日を除き、毎日行われます。その年の最後の立会は12月30日、年明け最初の立会は1月4日です。それぞれ大納会 (だいのうかい)、大発会(だいはっかい)と呼びます。大納会並びに大発会は、以前はともに前場のみの立会でした。しかし、東工取並びに東穀取では、前 場・後場制の廃止以降、通常通りの立会となっています。
また、商品先物取引には、立会方法が2種類あります。一つが「板寄せ」、もう一つが「ザラバ(板合せザラバ)」です。
ザラバ仕法の立会は、証券取引所と同様です。東工取並びに東穀取で行われています。一定の時間内に出された注文を「価格優先・時間優先」に従って順次約 定させていくため、立会の開始・終了時刻のみが決められています。立会時間は、日中立会は9時から15時30分まで、夜間立会は17時から翌朝4時(ゴム 市場は17時から19時、東穀取の農産物及び砂糖市場は17時から23時)です。この時間内であれば、いつでも売買を行うことができます。そのため、価格 は「始値、高値、安値、終値」のように表示されます。(図1)ちなみに、図1・2のような商品先物の価格一覧表のことを「相場表」と呼びます。
「板寄せ」は日本独特の立会方法です。関西商品取引所でのみ行われています。板寄せでは、売りと買いの数量が一致した値段が約定値段となります。そのため、ザラバと異なり、立会ごとに成立する値段は一つだけです。
立会は、前場・後場各3回程度、決められた時間に開始されます。この各立会を「節(せつ)」といいます。たとえば前場2回目の立会は「前場2節」と呼びます。板寄せの相場表は、節ごとに値段が表示されます。(図2)
なお、各節は連続立会となっています。そのため、商品ごとの明確な開始・終了時刻は決まっていません。たとえば、朝9時にとうもろこしの前場1節が始ま り、全限(全ての限月)の値段が成立次第、米国産大豆の立会が開始されます。(図3)
次回は、取引単位や値動きと損益などについて説明します。
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