【2012年 第1回 】今年の景気の先行き ~地域:四国中国
キムラ ミキ
2012年 辰年始動!新年明けましておめでとうございます。
昨年は、未曾有の大災害が発生し、遠く離れた山陰にも暗い影を落としました。あれから10カ月ほどが経った今ですが、まだまだ被災地においては本格的な復興には至ってはいません。
今年は干支にまつわる相場格言によると、「辰巳天井」にあたる辰年!本格的な復興のためにも、天高く登る辰の如く、日本経済全体が力強く上り調子となることを願うとともに、私たち一人ひとりが力強い一歩を踏み出していきたいものです。
山陰の経済情勢
昨年末に平成24年度税制改正大綱が閣議決定されました。それによると、実質的な国債発行額は昨年度を上回っていますし、増税項目も盛り込まれています。3.11以降、頭のどこかでは覚悟していたとはいえ、私たちの生活における負担増は避けられない模様のようです。
先行き不透明の暗いムードから、早期に景気の回復を図り、実質的な負担の軽減を願いたいところではありますが、今年の景気の先行きは明るいと言えるでしょうか。
財務省の出先機関である鳥取財務事務所、松江財務事務所が、それぞれ鳥取県内の経済情勢、島根県の経済情勢について発表を行っています。平成23年10月に発表された当該調査(平成23年7月から9月までの経済情勢調査)の内容から、山陰における今年の景気の先行きを考えてみたいと思います。
経済情勢についての総論によりますと、両県とも雇用情勢がやや厳しいまたは、鈍化している状況があります。また、企業収益について両県とも、一部の産業では平成23年度は増益の見込みが持てるものの全体的にみると減益の見込み‥・。
しかし、同事務所で発表している法人企業景気予測調査によると、企業の景況感は必ずしも悲観的ではなく、平成24年度は現状よりも景況が良くなると考えている企業が多いという結果もでています。
法人企業景気予測調査より景況判断BSIの推移
山陰の景気の先行き
流行語大賞ともなった「ゲゲゲの~」という言葉を生んだ、2010年NHKで放映された連続ドラマ「ゲゲゲの女房」の舞台のひとつは山陰でした。当時ドラマ効果により観光客が増加し、経済効果も上々ではありましたが、先ほど挙げた経済情勢の調査結果によると、そのドラマ効果もひと段落した模様で観光客も減少しています。
しかし、今年は日本最古の歴史書「古事記」が編纂されてから1300年を迎える年。出雲大社のある島根県は、「神々の国しまね」とテーマを掲げ、観光客の迎え入れ準備を整えています。古事記編纂1300年と、改めて声高らかに言わずとも、他県では神無月と呼ぶ11月を「神在月(かみありづき)」と呼ぶほど、神話が根付いている島根県。以前から取り組んでいる「縁結び」「スピリチュアル」といったキーワードとの関連性も高いと考えられますので、相乗効果を期待したいところです。
一方、鳥取県は今年の11月に「第13回国際マンガサミット」が開催されます。ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるさんの他、名探偵コナンの作者、青山剛昌さんを輩出した県であることから、「まんが王国とっとり」をアピールしている鳥取県。最近では、マンガだけでなく、アニメも含めたサブカルチャーに関するイベントも多く、コアな観光客の集客に一定の効果を生んでいます。国際マンガサミットの開催により、さらなる観光客の増加に期待したいところです。
明るく期待しながら踏み出す1年のスタート
このように、現在の山陰は、県外の観光客誘致の下地作りも着々と進んでいますし、企業の景況感は悲観的ムードも薄れてきた模様。また、震災直後のような四角四面の自粛ムードや物流システムの滞りも解消され、島根県では新設住宅着工戸数が2010年の同時期を上回るなど、個人消費についても、弱含みながらも回復の足音は聞こえているように思います。
そんな楽天的な…なんて声も聞こえてきそうな気もしますが、年初から、「今年も厳しい年」なんて呟きながらスタートを切るよりも、明るい話題に期待しながら足元をしっかり固めて、力強い一歩を踏み出していく方が見えてくる景色も違ってくるように、私は考えます。
ステキな1年になりますように、前向きに前進していきたいものですね。
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