【2012年 第3回 】鹿児島ならではの引っ越し風景 ~地域:九州・沖縄
瀬尾 由美子(セオ ユミコ)⇒プロフィール
3月1日、鹿児島県内のほとんどの高等学校で卒業式が行われました。
私の住む鹿児島市内では、午前中はあいにくの雨模様。思わず、わが家の息子の高校の卒業式も雨だったな・・・と9年前のことを思いだしてしまいました。
3月から4月にかけては、卒業や入学および人事異動等による「お引っ越し」が多い時期になります。そこで、今回は「お引っ越し」や「人口の社会的流出入」等について確認してみたいと思います。
「住民基本台帳人口移動報告 平成23年結果」より
統計局が平成24年1月30日に発表した「住民基本台帳人口移動報告 平成23年結果」による概要は次のとおりです。
①平成23年における日本人の市区町村間の移動者数は、504万4,239人となり、8年連続の減少
②都道府県間移動者数は233万8519人となり,平成7年以来16年ぶりに増加
③年齢5歳階級別では、前年に比べて0~4歳が8,384人の増加と最も多く、次いで40~44歳が6,800人
④都道府県内移動者数は270万5,7270人となり、8年連続の減少
今回都道府県間移動者数が233万8519人となり,平成7年以来16年ぶりに増加となったのは、東日本大震災の影響で東北の岩手県、宮城県及び福島県からの移動(転出)が多かったことが原因の一因となっているようです。
九州・沖縄地方の現状
さて、九州・沖縄地方ではどうなっているのでしょうか。統計局が平成24年1月30日に発表した「住民基本台帳人口移動報告 平成23年結果」の「基本集計」で確認してみると、福岡県と沖縄県は他都道府県からの転入超過になっていますが、他の5県は転出超過になっています。特に長崎県はマイナス2,138人と大幅な転出超過となっています。次に多いのが、鹿児島県のマイナス1,377人。以下、宮崎県のマイナス1,195人、大分県のマイナス807人となっています。
鹿児島県の転出超過が1,377人だったことは私にとって意外でした。というのも、もっと多いのかなと思っていたからです。2月の「受験」のコラムで書いたように、鹿児島県は大学等の数が少なく、また産業等も少ないため、高校を卒業して進学や就職のために県外に出ていく若者が多いので、転出超過がきっと多いだろうなと漠然と考えていたのです。
ところで、わが家の娘が福岡市に住んでいるので、時々福岡市に行くのですがその時に感じるのは「福岡は元気だ!」ということです。広大な福岡平野の各地に企業が点在し、空の玄関である福岡空港は国内外向けの飛行機が飛び交い、海の玄関である博多港には国内外からの船が入港する・・・。
産業が発達する要因がそろっていることで、製造業や商業等が盛んになり就職先等があることで人口が増え、さらに商業等が盛んになるという連鎖がおきているのではないでしょうか・・・。
離島が多い鹿児島県の人事異動によるお引っ越し風景
鹿児島県は離島を多く抱えています。そんな鹿児島県ならではの「お引っ越し」の際の風景があります。それは、学校の先生たちが離島へ赴任する時に、教え子である子どもたちが離島向けの船が出る港で見送りをすることです。
鹿児島県の教員に採用されると、一度は離島への赴任を経験しなければなりません。3月下旬に人事異動が発表され、離島への赴任が決まった先生たちは、3月末ごろに船で引っ越しをされます。子どもたちは学校で先生とお別れをしますが、離島へ赴任される先生を見送るために港へ行く父兄や子どもたちがいるのです。
船を見送るのは、独特の雰囲気があり、別れの寂しさがより伝わってきます。朝早く港へ向かい、学校の先生の見送りをする・・・。そんな人情味あふれる風景が見られる鹿児島県です。
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