【2012年 第8回 】お盆と相続~鹿児島県の場合~ ~地域:九州・沖縄
瀬尾 由美子(セオ ユミコ)⇒プロフィール
7月27日に開幕したロンドンオリンピックの熱い戦いが、日本中を「寝不足」にしているような毎日が続いています。北京オリンピックの雪辱を果たしてメダルを手に入れた選手や、思うような結果が出ずに悲しんでいる選手など、悲喜こもごもの選手の姿を見て、応援している私たちも喜んだり悲しんだりと忙しい毎日です。
さて、今月は8月を迎えていますが、九州は8月15日にお盆としての行事が行われます。
そこで、鹿児島県内のお盆の風景や相続にまつわる出来事などについて紹介してみましょう。
鹿児島県のお盆の迎え方
鹿児島県内では、13日から15日はお盆休みとする企業が多いようです。独身時代に私は銀行に努めていたのですが、お盆になると通勤時にすれ違う人々がいなくなってしまうので、一抹の寂しさを覚えながら通勤していたのを今でも覚えています。
お盆になると鹿児島県の人たちは、まずお墓掃除のために墓地を訪れます。お墓や仏壇をきれいに磨いて、買ってきた生花をお供えし、お盆を迎える準備をします。ちなみに、鹿児島県内のお墓にはいつも生花がきれいに飾ってあります。観光客の方たちが、お墓を目にすることがあると、驚かれるそうです。ご先祖様を大切に思う気持ちが強いのですが、お花の消費量は全国でもトップを争うほどです。
13日の夕方、暗くなってくると、鹿児島市内では玄関前の道路で迎え火を焚いてご先祖様をお迎えするのが一般的です。
私の夫の実家は姶良郡湧水町にあるのですが、そこでのお盆の迎え方はちょっと変わっています。13日の夕方暗くなると、「ご先祖様を迎えに行くよ。」といって、家族で大きな提灯を持って納骨堂に行きます。行くときは提灯に火はつけていないのですが、納骨堂についてお参りをした後、「さあ、帰りますよ~。」と、ろうそくの火を付けた提灯を手に持ち、ご先祖様を誘導するかのように家に連れて帰るのです。
お盆を一緒に過ごした後は、15日の夜になるとろうそくをつけた提灯を目印に納骨堂まで送っていき、ご先祖様に別れを告げるのです。
のどかなお盆の風景ですね・・・。
相続税の調査事績
相続税の調査事績(平成20事務年度分)(鹿児島県)によると
お盆繋がりで、相続についてあるデータを見てみたいと思います。
国税庁が平成21年12月に発表している「相続税の調査事績」(平成20年事務年度分)(鹿児島県)のデータを見てみましょう。
この調査は、平成20年7月1日~平成21年6月30日における鹿児島県内の相続税の調査をしたものですが、平成18年に発生した相続を中心に申告額が過少であると想定されるものなどを実地調査したものだそうです(実地調査とは、被相続人宅や相続人宅及び取引金融機関等に実地に赴いて行う調査のこと)。
主な内容は、以下のとおりです。
☆調査件数は109件、このうち申告漏れ等の件数は99件であり、割合としては90.8%。
☆申告漏れ課税価格は36億2,000万円(1件当たり3,656万6,000円)。
☆追徴税額は8億2,600万円(1件当たり834万3,000円)。
☆申告漏れのあった相続財産の全額の内訳は、有価証券が9億5,900万円と最も多く、金融資産(現金・預貯金等、有価証券)で全体の5割。
相続の発生件数は記載されていなかったのですが、申告漏れの件数って意外と多いんだというのが私個人の正直な感想です。
財務省の「相続税の負担割合の推移」より
また、財務省のホームページに、「相続税の負担割合の推移」という資料がありました。
この図は、「法定相続分により相続したものとして納付税額を計算し、負担割合を算出。」したものだそうです。
平成23年の税制改正では、「相続税の基礎控除の見直し」も法案に組み込まれていました。しかし、3月11日の東日本大震災の影響で、平成23年の税制改正は一部分だけが改正されたのですが、「相続税の基礎控除の見直し」は見送りになりました。
しかし、この図をじっと眺めていると、財務省の確固たる思惑が見えてきそうですね・・・。
話題になった相続事例
最後に私の独断と偏見で、最近話題になった相続事例について考えてみます。
皆さんも良くご存じだと思うのですが、ある女優さんの内縁のご主人の相続の件が非常に印象に残っています。
内縁関係では、残されたパートナーには相続権が発生しないのです!税法上の適用を受けるためには、正式な婚姻関係が必要となっています。
正式な婚姻関係と内縁関係では雲泥の差があるのです!
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