大衆長寿時代を生きる【2012年 第9回】

【2012年 第9回大衆長寿時代を生きる 地域:東京

岡本 典子 ⇒プロフィール

世界有数の長寿国、日本。9月17日「敬老の日」を機に、老後生活を考えてみませんか。

 

日本人の平均寿命

5月31日、厚生労働省より、通算して20回目にあたる≪平成22年「完全生命表」≫が発表されました。「完全生命表」は日本人人口(確定数)、人口動態統計の確定数を基礎資料として作成されます。それによれば、日本人の平均寿命は、男性79.55歳、女性86.30歳で、前回(5年前)と比較し、男性0.99年、女性0.78年長くなり、高齢化が進行していることがわかりました。

その後、7月26日、厚生労働省は「簡易生命表」を発表しました。そこでは、
・平成23年度の日本人の平均寿命は、男性79.44歳、女性85.90歳。前年比で男性は0.11歳、女性は0.40歳短縮
・平成21年度(2009年)をピークに男女ともに2年連続で下がり、女性の平均寿命は「26年間連続世界一」の座を香港(86.70歳)に譲り、男性も、世界第4位から8位に転落
・原因は、「東日本大震災の影響」と「20代で女性の自殺者が急増」
と、センセーショナルを巻き起こしました。
ちなみに、第1回「完全生命表」は1891~1898年(明治24~31年)の統計ですが、平均寿命は男42.8歳、女44.3歳。その後順調に延び、ざっと100年間で約2倍に、世界一の長寿国となったのです。

 

 

 

東京都は、100歳以上高齢者数で日本一!

東京を含む大都市圏を中心に「高齢者人口増加率」が高く、今後首都圏で急速に高齢化が進むとされています。

東京都が第1位を占めるのは、白寿を迎えた100歳以上高齢者数です。
全国では47,756人ですが、その8.7%を占める4,176人が東京に集中と、日本一です。しかし、これを人口10万人当たり100歳以上高齢者数で見ると、島根県、高知県、沖縄県が上位で、東京都は人口の絶対数が大きいがための日本一であり、決して長生きエリアとはいえないことがわかります。

また、S22~24年生まれのいわゆる団塊世代は今年から高齢者の仲間入りとなりますが、全国で678万人、日本全体の5.3%を占めます。東京都にはその9.1%にあたる62万人が暮らしていて、こちらも日本一です。

日本の「平均世帯人員数」を見ると全国的に減少傾向ですが、その先端を走るのも東京都です。
2005年の全国平均は2.56人でしたが、東京都は第1位(最少)の2.16人。
2030年には全国平均2.27人という予想で、第1位(最少)はやはり東京都の1.97人!
なんと2人を切る予想。単独世帯が増加し、おひとり様世帯割合においても、東京都は全国一といえます。

命題は「平均余命」と「健康寿命」の差を縮めること

高齢者とは、65歳以上の人をさしますが、65歳以上の人口は2,975万人。
日本の総人口12,766万人に対する高齢者の割合(=高齢化率)は23.3%です。(2012年6月1日)
高齢者となった65歳における「平均余命」は、男性で18.74年。つまり、65歳まで生存競争に打ち勝ち生き残ってきた人は、平均してあと18.74年、年齢でいえば83.74歳まで生きることを意味し、「平均寿命」より長くなっています。
同じく、65歳女性の「平均余命」は、23.80年、年齢にして平均88.80歳までです。

「健康寿命」ということばがクローズアップされてきましたが、《介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間》のことです。
平成22年度の「健康寿命」は、男性70.42歳、女性73.62歳。
同じく平成22年度の「平均寿命」は男性79.64歳、女性86.39歳。

「健康寿命」と「平均寿命」の差は、男性9.22年、女性12.77年と、人生終末の約10年は自立できず、何かしら介護や介助、助力が必要であるという、身に詰まる発表でした。
大事なことは、いかにこの差を縮めるか、最後まで自立して健康にすごせるかに尽きます。

 

 

 

大衆長寿時代を充実して暮らす・・・キーワードは≪3k≫!

現代は選ばれた人達だけではなく、多数の人々が長生きする時代になりました。
最期まで自分らしく納得できる人生をおくるには「生活の質(=QOL)」を保つことが大切。

安心して心豊かにすごす基盤となるのは
1.健康
2.安定した精神状態
3.所得と貯蓄

言い換えれば、“3つの健康“≪3k≫が大事です。
1.身体の健康 【karada】
2.心の健康  【kokoro】
3.家計の健康 【kakei】
これらすべてが備わりはじめて、長い老後を安心して豊かにおくれます。

高齢者となってから考えよう~!では間に合いません。
若い頃から、どのような老後生活をおくりたいか、そのためには今から何を段取りしておかなければならないか、少しでも早くその備えに取りかかるのが決め手です。

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