【2013年 第3回 注文住宅の工程と、お金の流れを知る】
注文住宅を建てたい人のための、知って得するマメ知識12
奥田 知典(オクダ トモノリ) ⇒ プロフィール
意外に知られていない、注文住宅の工程とお金の流れについて、住宅専門FPがお伝えします。
前回は、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の違いについて、話をしました。世界でひとつだけの、こだわりの家づくりを求める人は、おのずと注文住宅を手掛ける工務店、設計事務所を選ぶこととなります。しかし、注文住宅、言い換えればフルオーダーメイドの家づくりをするにあたっては、当然、やるべき工程が多く、時間もかかります。また、お金を支払うタイミングも、ハウスメーカーとは異なりますので、注意が必要です。
□注文住宅の工程(全体像)
注文住宅の工程について、まずは、全体像を以下にまとめてみましょう。
このように、注文住宅は最初の建築プラン申込から、建物完成引き渡しに至るまで、実に多くの工程を必要とします。
外観デザインや間取りはもちろんのこと、屋根の形、壁の素材、床材、コンセントの位置など、全ての仕様を施主が決めていきますので、スケジュール管理をしつつ、ひとつひとつの工程を、確実に進めていくことが求められます。
□注文住宅独特の、お金の流れ
また、お金の流れの話をすると、注文住宅の場合、一般的には①契約時に建物代金の10%、②着工時に30%、③上棟(屋根がつき、家の骨格ができること)前に30%と、上棟式の段階で建物代金の70%程度を先に支払います。したがって、自己資金で足りない人は、『つなぎ融資』を使う必要があります。この点も、注文住宅の特徴です。
『つなぎ融資』とは、その名のとおり、間を“つなぐ”融資なのですが、何の間をつなぐかというと、住宅建築申込または土地の決済から、住宅ローン実行までの間です。
意外に知られていないのですが、実は住宅ローンは、建物が完成しないと資金実行されません。住宅ローンの取り扱い条件の1つに、「融資対象物件に第一順位の抵当権を設定する」というものがあり、それは、建物が完成しないと、設定できないため、建物完成までの間は、住宅ローンは実行されません。
その一方で、先述のとおり、注文住宅の場合は、土地建物代金の先払いが必要なため、住宅ローン実行までの間を“つなぐ”『つなぎ融資』が必要となるのです。
□『つなぎ融資』のポイント
ではこの『つなぎ融資』を利用するにあたってのポイントとは、一体どんなものがあるのでしょうか?
まず、『つなぎ融資』を利用するためには、利用時までに、当該物件に対する住宅ローン申込が審査通過している必要があります。住宅ローンの審査合格があってはじめて、『つなぎ融資』を利用することができるのです。ということは、特に土地の決済から『つなぎ融資』を利用したい人は、金融機関の住宅ローン審査を、早いうちに通しておく必要がある、ということです。
また、金融機関によっては、そもそも『つなぎ融資』の取扱がないところもあります。せっかく住宅ローン審査が通過しても、その金融機関に、『つなぎ融資』制度がなければ、意味がないということになります。メガバンク系は、『つなぎ融資』がない、あるいは消極的というところが多いので、こちらも注意しておきましょう。
なお、『つなぎ融資』の取扱手数料や金利は、住宅ローンのそれとは異なります。『つなぎ融資』はいわば金融機関の直接貸し(プロパー貸し)となるため、住宅ローンに比べて割高な金利設定となることが多いです。
もし、『つなぎ融資』を利用したいのであれば、住宅ローン選びの段階から、『つなぎ融資』の可否や条件もふまえた判断が必要です。単に金利の高低だけでなく、『つなぎ融資』の手数料、利用条件等も加味し、総合的に金融機関を選ぶことを、こころがけましょう。
今回は、『つなぎ融資』にスポットをあててお話しましたが、それ以外にも先払いが必要な諸費用として、「水道メーター納入金」や「地鎮祭費用」などがあります。大切なのは、「いつ、幾らのお金を、誰に払えばよいか」をしっかり捉えること。特に注文住宅を建てる場合は、重要です。
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