【2013年 第8回 同じ給料でも、家族構成によって異なる税金】 大学生のためのパーソナル・ファイナンス
横川 由理(ヨコカワ ユリ)⇒ プロフィール
自分と同じ給料であっても、所得税や住民税は、人によって違ってくることをご存知ですか?つい、税金というと身構えてしまいますが、実は個人的事情に応じて様々な配慮があるのです。
同じ年収であっても、税負担が異なる
独身のA君。入社3年目の会社員。年収は350万円です。
ボーナスは1年で2ヵ月分貰っているので、14ヵ月で割り算を行うと、1ヵ月あたりの手取りは約20万になります。
一方、同級生であったB君は病気がちのご両親と一緒に暮らして、金銭的にも援助しています。
お父さんには重い障害があるそう。
そんなB君も年収は350万円。でも、1ヶ月あたりの手取り額は25万円になります。
同じ年収であっても、税負担が異なることから、手取り額にも違いが生じてきます。
A君とB君は、いったいどこが違っているのでしょうか。
第一にあげられるのは家族構成です。
A君は、自分の給料は自由に使うことができます。いわば、扶養している親族は誰もいません。
きっと、税金も払うことができるはずです。
一方、B君は家族を養っているわけですから、生活費や医療費など、お金がかかるでしょう。
当然、税金を負担する力にも違いが生じるため、個人的な事情を考慮して税金を調整するしくみがあるのです。
B君はご両親を扶養していますから、「扶養控除」の対象になります。
扶養控除というのは、扶養している一定の親族がいるとき、通常、1人につき38万円を所得から差し引くことができるものです。
お父さんは障害をお持ちなので、「障害者控除」にも該当します。
さらに、医療費を支払ったら「医療費控除」を適用することができます。
B君の所得を計算していくと、所得はゼロとなってしまい、結果として税金を払う対象にはなりません。
このように個人的な事情によって、税負担を軽くしてくれる制度を「所得控除」と呼んでいます。
このほかにも火事や盗難にあったり、寄付金を払ったなど特別の場合にも所得控除があります。
それぞれ「雑損控除」や「寄付金控除」として、所得税と住民税の負担が軽くなるような配慮があるのです。
会社員の場合、勤務先が税金を計算するという「源泉徴収」という制度を採っています。
つい、会社任せにしていますからどのように税金を計算するのかわからないという人も多いもの。
ですが、節税を心がけていくためには、所得税の計算方法をマスターしている必要があります。だって、計算できなかったら、どうやって節税するのかもわかりませんよね。
必要な税金は払う。不必要な税金は払わない。もしくは、節税しながら、合理的に支払う。
そんな賢い生活を送るためにも、税金の仕組みをひと通りおさえておきましょう。
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