【2012年 第12回】入院したときの医療費はどのくらい? – 大学生のためのパーソナル・ファイナンス
横川 由理(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール
健康保険の負担は3割。かかった医療費や薬代の3割を支払うことで治療を受けることができます。では、医療費が100万円かかったら?
高額療養費という制度
そうそう重い病気にかかったり、けがをすることはないけれど、私の場合10年に1回の頻度で入院をしています。とはいっても、肺炎やけがなどが原因ですから、心配はいりません。
つい最近も、ケガで入院と手術をしてしまいました。
通院の場合それほど高く感じない医療費も、入院となるとずっしりと負担が重くのしかかってきます。そう、一般的に入院&手術でかかる医療費は100万円超。
では、私は30万円の医療費を支払ったのでしょうか。
答えは「NO」。なぜなら健康保険には、高額療養費という制度があるからです。
高額療養費は、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、1ヵ月内(月の初めから終わりまで)に一定額を超えた場合、その超えた金額を支給してくれる制度。
年齢や所得に応じて、医療費の上限が定められています。
仮に100万円の医療を受けて30万円を支払ったとしても、高額療養費として、払い戻しを受けることができます。ただし、「返してください」と請求することが条件。
「限度額適用認定証」
とはいえ、30万円を立て替えるのも少々難しいもの。そんなときは、加入している健康保険から「限度額適用認定証」を受け取っておきましょう。
事前に病院へ提出することで、一般的な所得の人なら、87,430円が上限となり、高額なお金を立て替える必要がなくなります。
私は国民健康保険に加入しているので、市役所にて「限度額適用認定証」をもらいました。
ただし、入院したのは8月22日から9月15日までの25日間。
残念ながら、高額療養費には暦上の1ヵ月以内にかかった医療費という縛りがあります。
そう、私は87,430円を8月分と9月分の2回分を支払ったのでした!
もし、同じ25日間で、8月1日に入院、8月25日に退院だったら、87,430円の支払いでよかったのですが、病院の都合もあるので、わがままは言っていられません。
なお、医療費のほかに1日780円の食事代がかかります。
世の中の多くの人は、高額療養費という制度があることをご存じないと思います。
というのも、私が病院の窓口で支払いをしようと待っていると、悲壮な顔をした方々が30万円、40万円という大金を支払っているのです。
思いつめた顔つきからして、あとからお金が戻ってくるとは思っていないようです。
つい、「もしもし、高額療養費という制度をご存知ですか? 請求すると今払ったお金がかえってくるんですよ」と声をかけたくなってしまいましたが、還付金詐欺だと思われてもイヤなので、結局、声を掛けることはできませんでした。
そうです。
大人でも知らないことの多い世の中のしくみ。
そんな知識をパーソナルファイナンスで学んで賢く生活してきましょう。
1年間、ご拝読いただきありがとうございました。2013年 第1回コラムをお楽しみに!
~ 事務局スタッフ一同より ~
この記事へのコメントはありません。