【2012年 第12回 】年末に地方財政を考える エリア別コラム – 地域:北海道東北
恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール
12月16日に衆議院選挙の投開票があります。
TPPや原発の問題がクローズアップされていますが、税金の徴収や使われ方、社会保障の関係も気になります。
12月のコラムは、北海道の地方財政についてみていきます。
当コラムの構成について
1.財政力に関して
2.歳出決算総額と各歳入財源の割合
3.1人当たりの税収
4.1人当たりの福祉関連の歳出
2009年度のデータを基づいています。
5.平成24年度北海道予算案について
平成24年度と23年度の比較になります。
6.最後に
1.財政力に関して
財政力を表す指数は、以下の3つになります。
「財政力指数」:地方公共団体の財政力に強さを表し、高いほど健全。
「地方債残高」:対歳出決済総額。高いほど借金体質。
「経常収支比率」:財政構造の弾力性、硬直度を表し、高いほど硬直的。
全国と比較した場合の北海道の状況は以下の通りです。
北海道は、財政構造の弾力性はあるが、地方債の残高が高く借金体質になっています
2.歳出決算総額と各歳入財源の割合
歳出決算総額に占める「自主財源割合」、「一般財源割合」、「地方税割合」、「地方交付税割合」をみていきます。
全国平均と比較した場合、自主財源割合が低いが、地方公共団体が自由に使える一般財源割合は、都道府県順位では中位に位置しています。但し、地方税よりも地方交付税に頼っている傾向があります。
3.1人当たりの税収
北海道の課税対象所得は、住民税、固定資産税はとも全国平均を大きく下回っている。固定資産税に関しては、北海道より下位の県に、宮崎県、鹿児島県、熊本県、沖縄県、奈良県、長崎県と九州地方に多く意外でした。
4.1人当たりの福祉関連の歳出
福祉につきましては、1人当たりの定義が項目ごと異なります。(県・市町村財政合計)
・社会福祉費人口1人当たり
・老人福祉費65歳以上人口1人当たり
・児童福祉費17歳以下の人口1人当たり
・生活保護費被保護実人員1人当たり
北海道は、過疎化や地方の高齢化の影響から、老人福祉費が全国平均より高く、児童福祉費は、全国平
均に比べ低くなっています。
・教育費人口1人当たり
・公立小学校費児童1人当たり
・公立中学校費生徒1人当たり
・公立高等学校費生徒1人当たり
・幼稚園費児童1人当たり
教育費に関しては、幼稚園費以外は、全国平均を上回っています。これは、地方の過疎化による生徒数の減少が影響しているように思われます。
5.平成24年度北海道予算案について
北海道庁のHPに平成24年度予算の概要(第1回定例会)の資料として「平成24年度北海道予算案について」が公開されていました。以下、この資料を参考にして、「歳入・歳出の中身」と「平成24年度 重点政策」についてみていきます。
歳入面の道税の伸びは、年少扶養控除の廃止などによります。その他収入の減少は、国の経済対策に係る基金が減ることが影響しています。
歳出面では、義務的経費のみ前年を上回っています。これは、高齢化により医療及び介護の給付金の増加が影響しています。一般施設事業費の減少は、歳入面でその他収入が減ることが要因になります。
また、一般会計の予算規模は、平成21年度(2兆9,100億円)から平成24年度(案)(2兆7,400億円)と年々減少傾向にあります。
6.最後に
平成24年度の北海道の「重点施策の基本的な考え方」の中で基本姿勢として、
・「地域」に徹底的にこだわり、「世界の中の北海道」を力強く発信
・安全・安心な「食」や豊かな「自然環境」といった「北海道価値」を最大限に活用
の2点を挙げています。
また、主な政策に関しては、「重点的に取り組む政策」の中で挙げられています。予算の使われ方をチェック、確認する指標として活用したいと思います。
※文章中のデータは、総務省統計局の「統計で見る都道府県のすがた 2012」(2009年度ベース)の中のD.行政基盤、及び、北海道庁の「平成24年度北海道予算案」を参考にいたしました。
1年間、ご拝読いただきありがとうございました。2013年 第1回コラムをお楽しみに!
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