【2012年 第4回】「入社」~入社シーズンを迎えて~ 新年度にはいり、今年もたくさんの新社会人が誕生しました
浅川 陽子(アサカワ ヨウコ)⇒プロフィール
新年度にはいり、今年もたくさんの新社会人が誕生しました。親の立場からすると、子どもの経済的自立は、本当にありがたいものです。
最近、私の大学のゼミの同期会がよく開かれるのですが、よく出る話題はいつも「子どもの就職」と「親の介護」になります。この2つが私たち世代(50代)にとって一番悩ましいテーマとなっているといるかもしれません。
<大卒内定率はやや改善するも、求人数は減少>
平成24年大学卒業予定者の就職内定率は、厚生労働省の調査によれば、2月現在で、80.5%、昨年の77.4%に比べるとやや改善されたといわれています。
昨年4月時点では、最終的に内定者は91.0%となったそうなので、今年も最終的には、90%を超える水準にはなりそうです。それでもまだ10%近い約5万人が就職できない計算になります。
地域別でみると、関東の内定率がやはり一番高く、前年と比べても3.4%増になっています。ただし、関東の大学生就職内定率の推移(2月ベース)を見てみると、平成20年以前では、90%の水準にあったものが、その後内定率は80%台で推移していることがわかります。
下記の大卒の求人数と求人倍率を調査したデータによりますと、全体の求人数は、ここ数年では平成20年をピークに減少しており、求人倍率も1.23倍に下がっています。原因のひとつとしては、大企業の求人はやや増加傾向にあるものの、中小企業の求人が減少傾向にあり、企業業績の回復の遅れが求人にも反映されていると考えられるそうです。最近は、募集人数に満たない場合でも、人数合わせで採用しないという中小企業も増えているといいます。
大学生にとっては、まだまだ就職氷河期を抜け出したとはいえない状況といえるでしょう。
<高い3年以内の離職率>
最近の新卒者における3年以内の離職率は「7・5・3」といわれています。中卒者の離職率が約7割、高卒者の離職率が約5割、大卒者の離職率が約3割ということです。
大卒者の離職率の推移をみると、ここ数年、若干下がってはいるものの、1年以内の離職率は10%を超える水準にあります。早めに離職する場合、本人に問題があるのか、会社に問題があるのか、この2つのどちらかといわれています。最近、採用で重視する点として、いわゆるコミュニケーション能力を問う企業が増えており、自己のプレゼンに長けた学生が有利という傾向にあるようです。採用側も少し見方をかえて、地味でも忍耐強そうな学生に目を向けると離職率も少し変っていくかもしれません。
<親のライフプランに影響する子どもの経済的自立>
私も仕事柄、「退職後のライフプランセミナー」でお話をする機会も多いのですが、最近、正規社員になれずにフリーター状態でいる子どもがいるために、セカンドライフ資金を自分たちだけで思いっきり使うことができずにいるという話も、よく聞かれるようになってきました。子ども世代の雇用問題は、親の世代にも大きな影響を及ぼす問題として、ますます認識されていく必要がありそうです。
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