【2012年 第4回】関西エリアにおける“就職動向”と“新 社会人” 新年度が始まりました
合田 菜実子(ゴウダ ナミコ)⇒プロフィール
新年度が始まりました。大阪駅周辺や淀屋橋などのオフィス街を歩くと、おろしたてのスーツを着た、爽やかな新入社員らしき若者を多く見かけます。
“就職難”といわれる今の時代、厳しい就職活動を経て希望の企業に就職し、初めての“仕事”に期待や不安を抱きながら毎日を過ごされていることでしょう。
厚生労働省の「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」の結果によると、平成24年に大学等を卒業する人の就職内定状況は、平成23年12月時点で大71.9%(前年より3.1%アップ)、短期大学(女子学生)47.9%高等専門学校(男子学生)97.2%、専修学校(専門課程)58.6%と低い値となっています。
ただ、平成22年12月時点(平成23年度入社)での内定率は68.8%でしたが、平成23年度4月1日時点での就職率が91.0%まで上昇していることを考えると、今年も4月1日時点では90%以上の人が就職出来ていることが推察されます。とはいえ平成20年頃の就職率は96%を超えていましたので当時と比較すると、ここ2~3年はやはり厳しい状況が続いていることが分かります。
地域別の調査結果によると、平成23年12月時点で近畿地区は71.9%とほぼ全国並み。関東地区が75.4%と高く、北海道・東北・中国・四国・九州エリアが60%台と、大都市圏の方が就職率は高くなっています。
“関東エリア”についで多くの大学がある“関西エリア”ですが、関西出身者は“地元志向”が強い学生が多いように感じます。パナソニック、シャープ、サントー、日本生命、日清食品などといった関西に本社を置く大手企業も多く、言葉(関西弁)や環境の変化を乗り越えてまで関西を脱出しなくても、“やりがい”や“ある程度の収入”が得られるような希望の企業に就職することが出来るという土地柄もあるでしょう。
毎日コミュニケーションズが平成22年卒業予定の関西の大学生に行った、就職人気企業ランキングによると、理系では1位にパナソニック、2位にシャープ、4位にサントリー、5位に関西電力とベスト5のうち4社が関西企業、文系でもベスト10のうち4社が関西企業という結果となりました。全国集計で22位の日清食品が関西では9位、48位の江崎グリコが15位にランキングされるなど地元企業の人気が高いなか、三井住友銀行(3位)三菱東京UFJ銀行(4位)と大手金融機関を希望する人も多くなっています。
また、日経新聞が2012年1月に関西地区の大学・大学院に在籍する大学生を対象に行った、関西就職希望企業(関西地区に本社もしくは採用拠点を置く企業)ランキング(下記図表)では、1位が京都銀行2位がパナソニック 3位がサントリーHDとなっています。この調査結果においても、金融機関の人気は高く、4位に池田泉州銀行、10位にりそなグループ、11位に京都中央信用金庫、13位に京都信用金庫15位に三井住友トラスト・グループと、ベスト50までに13社の金融機関がランクインしています。経済不況が続くなか、学生たちの大手企業、安定企業への志向が高まっているようです。
ところで、就職難といわれる現在、企業はどういう人材を求めているのでしょうか?小学生のころから一生懸命勉強して一流大学を出て・・・という“学歴”も影響するのでしょうが、経団連が行った「新卒者採用に関する調査結果」によると、企業が学生に最も求めている資質は上位から“コミュニケーション能力・協調性・主体性・チャレンジ精神・誠実性” と続いています。つまり、いくら学歴が立派でも、コミュニケーションなど“人とのつながり”がうまく持てない学生は就職が難しいということになります。
自分はどうだったかな?かれこれ○十年前のことを振り返ってみました。
私にとっての“やりたい仕事”とは、“収入”よりも“やりがい”であり、当時女子に多かった“一般事務職”よりも“男子と対等に出来る総合職”でした。そのような観点から業界を絞った結果、比較的男女の仕事の差が少ない”旅行会社での営業“を希望しました。当時は今のように、男女雇用機会均等法が充実していなかったため“男子は総合職”“女子は事務職で転勤は無く出世も難しい”という考え方が主流でした。私は、男子に負けないようにと、面接では“体力”と“根性”を自己アピールしていた気がします!
入社することになった旅行会社の最終面接で「なぜ弊社を希望したのですか」と、当時の支社長に聞かれたとき、私は「人が好きだからです。」と答えました。採用後、面接官であった支社長に、「“人が好き”というのは、旅行会社にとっては一番大切なことなのですよ。」という嬉しい言葉を頂いたことを覚えています。今思えば、旅行会社に限らず“人が好き”というのは、“コミュニケーション”の基本になることだと思います。営業や販売といった接客業に限らず、事務職であっても社内での人間関係は重要で、それがうまくいかずストレスを感じたりして会社を辞めてしまう人も多いようです。
現在の“ファイナンシャルプランナー”という職業においても、多くの“素敵な方々との出会い”と“コミュニケーション”のおかげで仕事の幅が広がり、やりがいのある仕事をさせて頂いています。
情報化が進み“スマートフォン”が就職活動の必需品となり、“OB訪問”や“人を介した情報”よりも、“インターネットによる情報収集力”や“エントリー手続きの要領の良さ”などが就職成功の決め手になったりすることがあるなど、時代はどんどん変化しています。でも、やっぱり、今も昔も変わらない“人とのかかわり”“コミュニケーション”を、これからの“新社会人”の方々に大切にして頂きたいと私は思います。
“新社会人のみなさん”これから社会人として様々な試練が待ち受けているとは思いますが、“出会った人々との繋がり”を大切にし“今の新鮮な気持ち”を忘れずに、お仕事頑張って下さい。
この記事へのコメントはありません。