【2012年 第9回】100歳 まで生きる!! “高齢化”の現状と、“長生きリスク”について考えてみましょう
合田 菜実子(ゴウダ ナミコ)⇒プロフィール
もうすぐ敬老の日ですね!“少子高齢化”が問題になっていますが、将来の自分の生活を考えると、他人ごとでは済まないですよね。“高齢化”の現状と、“長生きリスク”について考えてみましょう。
少子高齢化が社会問題になっています。下記、“高齢化の推移と将来推計”に関する棒グラフです。
(平成23年度高齢者白書)これによると、人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率は2005年(20.1%)→2015年(26.9%)→2055年(40.5%)となっています。
また、高齢者1人を支える生産年齢人口(15歳~64歳人口割合)は2005年(3.3人)→2015年(2.3人)→2055年(1.3人)と、今から約43年後には、10人中4人が65歳以上、労働者である若い世代1.3人で1人の高齢者を支えなければならない時代がやってくることが予想されています。
現状でも、年金問題や高齢者医療費の問題などがささやかれており、今の労働者世代が高齢になった老後の暮らしが心配ですが、それ以上に将来、今の子供たちがもっともっと深刻な問題と向き合うようになる可能性があります。医療技術の進歩などに伴い100歳以上人口も年々増加しています。健康で長生き出来れば“幸せ”なことではありますが、病気や寝たきりになり金銭的にも肉体的にも厳しい状況になる可能性もあります。“長生きリスク”にもしっかり備える必要がありそうです。
近畿エリアと、全国地域毎の特性を見てみましょう。
下記は地域別の高齢化率の表です。近畿エリアは、ほぼ中間に位置し、全国平均の23%前後になっています。上位5県は比較的総人口が少ないエリア、東京、神奈川など大都市は下位、沖縄は抜きんでて高齢化率が低いのが分かります。
また、100歳以上人口は1963年には153人だけでしたが、2011年には47,756人に急激に増加しています。
下記表は、人口10万人に対する100歳以上の長寿者比率ランキング(2010年9月調査)です。
上位から、島根県、沖縄県、高知県、近畿エリアでは、京都府22位、奈良県31位、兵庫県33位、滋賀県37位、大阪府41位と平均より少し低め、最下位は埼玉県となっています。“100歳を迎えること”は、さほど珍しいことではなくなってきているようです。
高齢化率、100歳以上人口比率とも、県によって随分と差があることが分かりますね。
世界でも屈指の長寿国である日本、平均寿命が男性80歳、女性86歳(2012年発表データ)というのを踏まえると、リタイヤ後15年~30年に渡るセカンドライフをどう過ごすのか?また、少子高齢化が進む中、人生の最期をどのような形で迎えるのか?というのが大きな課題になってきます。
現在100歳、完全介護型の施設に入居しているある女性の例です。(入居一時金は無し。費用は月額払い)彼女は、比較的富裕層ということもあり、関西でも有数の設備の整った民間の施設で暮らしています。その施設ではフロアごとに数段階の介護のランクを設けています。“介護のランク”による主な違いは、1人の入居者あたりどれだけのスタッフでケアしてくれるか?という点で、もちろん介護度にもよりますが、つまるところは人件費をどれだけ負担するかでサービスが変わってくるということになります。
現在、介護保険をフル活用した上で、持ち出しが月額約30万円(施設に払う費用)、彼女の場合、5名の入居者につき3名のスタッフがケアを行っているそうです。例えば、1人の入居者に対し1人、すなわちマンツーマンのケアを受けたいということになれば、プラスアルファー費用がかかってくることになります。
さて、ざっくりした例ではありますが、月額30万円だとしてもかなりの高額だと思いませんか?月30万円の年金があれば問題ないですが、これだけの年金貰えるケースは稀で、大半は資産の取り崩しが必要になります。また、寿命は測定できないため、いつまで支払いが続くのかも分かりませんよね。また、病気を併発すれば、医療費は別途かかってきます。
今後の少子高齢化の問題も加わっていきます。今の40代がちょうど介護される側の主役にまわる約43年後(2055年)には、1.3人の生産人口が、1人の高齢者を支える時代がやってきます。その時、今と同じ“価格”で“同じサービス”を受けることが、果たして出来るでしょうか?社会保険や年金保険の財源不足の問題を考えると、ますます厳しくなる可能性が高くなります。
老後“なんとかなるさ?”という考えは通用しない時代がやってきます。
“金銭面での負担”“今後の家族との繋がり”“自分自身の将来のビジョン”そして、年をとっても元気で暮らせるための“健康づくり”など、“働いて収入を得られる今”しっかり考えておくべきなのではないでしょうか?
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