5回目のテーマ <小学生のお小遣い>これをやっておくと上手くいく!お小遣い制3つのポイント
『親子のためのお金教育の専門家』、元銀行員・ファイナンシャルプランナーの横井規子です。
「このままじゃ、将来、お金で失敗しちゃう!」
我が子のお金のしつけをやり直した経験から、金融教育が重要と実感。それをきっかけに親や子のためのお金の授業をスタートし、これまで300校、17,000人が受講しています。
学校授業での経験や金融教育について、1年間お伝えしていきます。
横井規子⇒プロフィール
前回のコラムで、子供の金銭管理力を育てるには、決まった日に決まった金額を渡す、『定額制のお小遣い』がお勧めであるとお伝えしました。
しかし、お小遣いを渡すことを不安に感じている保護者も少なくありません。
アンケート結果から見えてきたその不安と、上手にお金を扱えるようになるためのお小遣い制のポイントをお伝えします。
目次
アンケートでわかった!子供にお小遣いを与えない理由
講演会やセミナーで、保護者向けにお小遣いについて話をする際には、できるだけ参加者からアンケートをいただくようにしています。内容は数年ごとに変えておりますが、子供にお小遣いを渡しているかどうか、渡していない場合はその理由をお聞きした時期もありました。
アンケートを見て、「お小遣いを渡していない」と答えてくださった方が意外と多く、驚いたことが思い起こされます。特に、「小学校高学年でも渡していない」と回答された方々の理由が印象的でした。
一例をご紹介しましょう。
・お小遣いを子どもに渡したら、親にとってくだらない物を買うだろうから渡したくない
・子供が何を買うのか、不安に思うくらいなら親が買った方が良い
・お小遣い帳をつけさせたのに続かがなっかたので、お小遣い制を渡すのをやめました
・行ってほしくない店で買い物をしていたので、お小遣い制をやめました
・お小遣いを渡したらすぐに使い切ってしまったので、もう渡しません
保護者の皆さんの中には、子供にはこんなことにお金を使ってほしいという思いがあったり、買ってほしくない物や行ってほしくない場所もあることでしょう。それは私も経験があるので、わからないでもありません。
では、お小遣い制を始める際に、そういった親の考えをお子さんに伝えたり、ルールを決めていたのかと尋ねると、そうしていないご家庭が多いこともわかりました。ルールがあると、親も子も迷いません。そこで、事前に親子で確認しておきたい3つのポイントをお伝えいたします。。
ポイント1~親と子の価値感を確認する
お小遣いを渡していない理由に、「親にとってくだらない物を買うだろうから渡したくない」というのがありました。親にとってはそうであっても、子供にとっては大切な物だったりするものです。子供なりに考えて購入したのでしょうから、認めてあげたいところです。
私の娘も、お小遣いで毎月シールを買っていた時期がありました。「こんなにあるのにまだ買うの?」と、何度も歯がゆく思ったものです。でも、本人が「失敗した」、「もう十分!」と思わない限り、なかなか親の言葉は耳に入ってこないものです。
親の価値観を押し付けすぎて、お小遣いに関心を持たなくなってしまったお子さんもいらっしゃいます。お小遣いでお金の使い方を勉強させようと思っていたのに、これでは本末転倒です。
こういったことから、お小遣い制を始める前に、親と子の価値観を確認しあい、妥協点を見つけておくと良いと思います。そして、ある程度使い道を任せてみると、子供も買う楽しみが味わえ、何かと学べることも多いのではないかと思います。
ポイント2~親子でルールを決める
定額制のお小遣いを渡す場合は、「渡す日」「渡す金額」「買う物のおおよその範囲」「やってはいけないこと」等、あらかじめ親子で決めておくと良いでしょう。そして、ルールの範囲内なら口出しをしないのがポイントです。
先ほどご紹介したアンケート結果の中に、「子供が何を買うのか不安」という回答もありました。それなら、「お小遣いで何を買うのか教えてね」と、買う物のおおよその範囲(文房具・マンガ等、ざっくりで良い)を教えてもらったら良いのではないでしょうか。お小遣い制を始めた頃や、小学校低学年なら、買い物に不安を感じていたり、分からないこともあったりするものです。「買いたい物を教えてもらえると、他に上手な買い方があったら教えられる」、「その買い物に適したお店を伝えることができる」等と話しておくと、子供も安心するのではないでしょうか。
ちなみに私の娘の場合は、小学校3年生まではお小遣いで何を買うのか、ある程度教えてもらっていました。何を買うのか聞かせてもらえることで、今、学校で何が流行っているのかがわかったり、お小遣い増額のタイミングに気付くことができて良かったと思っています。
ポイント3~簡単に追加のお小遣いを渡さない
お小遣いを渡したら、すぐに使い切ってしまうこともあるでしょう。衝動買いをしたことで、普段買っているものが買えず、追加のお小遣いをねだられることもあるかもしれません。そんな時に、「仕方がない」と言って簡単にお金を渡すと、我慢をするということを学べません。
しかも、「うちの親は言えばなんとかなる!」ということを子供に教えることに繋がります。それでは自立心も育ちません。追加のお小遣いは渡さないと約束しておくと良いでしょう。
そうすると、子供は色々と考えることでしょう。
・お金がないなら我慢しなくてはならない
・家にある物で工夫しよう
・リサイクルショップに行ってみよう
・似た物はないか探してみよう
・作ってみよう
・毎月貯金をしよう
このように、制限することで子供は考えるのです。お金の大切さがわかることで、成人になった時に安易にキャッシングをすることも、詐欺に遭う可能性も低くなるのではないでしょうか。将来のお金の不安が軽減されることでしょう。
金銭管理力を育てるには「失敗の経験」と「親の見守り力」
アンケート結果の中には、「子供に失敗をさせたくないから、親が決めて買う」というのもありました。〝転ばぬ先の杖″になりたい気持ちはよくわかりますが、子供には失敗する経験も必要です。
ちょっと話が逸れるかもしれませんが、高学年になると、家庭科の授業で食事の作り方を学びます。調理実習の時間で米の炊き方を学び、味噌汁を作ることになるでしょう。そして、お金の使い方も学びます。物や金銭の大切さ、計画的な使い方等を学ぶのです。
食事の作り方とお金の使い方は、どちらも生きていく上で大事なことです。特に食事作りは、親も何度か練習させることでしょう。学校で習った味噌汁を子供に作らせてみて失敗しても、親は怒ることはないでしょうね。「何度か失敗して上手になるのよ」等と励ますのではないでしょうか。
しかし、お金の使い方の失敗は、なかなか寛容にはなれないようです。「すぐにお小遣いを使い切ったから、渡すのをやめた」という声も多く聞きますが、それはもったいないことです。失敗から学ぶことも多いからです。
無駄使いを反省し、貯蓄の習慣ができたというお子さんもいらっしゃいます。失敗を機に計画性が身に付いたり、お金の大切さがわかったという声もあります。
そもそも小学生のお金の失敗は数百円とたかが知れています。成人になってからのお金の失敗のほうが怖いのではないでしょうか。ですから、今、失敗の経験をさせておくことは悪いことではないのです。
もう一つ、お小遣い制で大事なことは親の見守り力です。口出しはしなくとも、アドバイスや見守りは大事です。お子さんが自立した生活を送ることができるよう、親も頑張っていきましょう。
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