【2013年 第6回 親の老後のライフプランにどのような影響があるのか?(介護編)】
”フリーター”親子のライフプラン、キャリアプランへの影響
岡田 佳久(オカダ ヨシヒサ)⇒ プロフィール
前回は、お子様がフリーターの場合、親の老後のライフプランに対してどのような影響があるのかを資金面に視点を当ててお話をしましたが、今回は、万が一、介護が必要になった場合、どのような影響があるのか?についてお話をしていきます。
■高齢者の約6人に1人が公的介護保険の要支援・要介護の認定者
高齢社会の到来が叫ばれて久しいですが、2011年10月時点での65歳以上の高齢者数は2,975万人に達しています。総人口に占める割合(高齢化率)は23.3%になっています(平成23年9月15日現在 総務省統計局「人口推計」より)。
また、<図表1>は、2011年10月時点での公的介護保険の認定者と受給者の状況です。
この統計によると、公的介護保険の要支援または要介護に認定された方は531.4万人となっています。65歳以上の高齢者のうち17.8%(約6人に1人)の方が要支援または要介護に認定されています。さらに、要介護4または要介護5といった要介護度が高い方も、130万人に達しています。65歳以上の高齢者のうち4.3%(約25人に1人)の方は要介護度が高くなっています。
したがって、今は元気であっても、年齢を重ねるごとに足腰が弱ってくるなど、「介護」といった問題が現実的になってくるのです。
■主な介護者は配偶者、子、子の配偶者
もし、介護状態になり介護をする人が必要な場合、実際に誰が介護をしているのでしょうか?
<図表2>によれば、配偶者、子、子の配偶者が約60%を占めています。<図表3>では、実際の介護の内容を記載しています。内容を拝見すると要介護度が高くなればなるほど、日常生活の中での細かなことまで介護をする必要があるため、どうしても家族などの身内が行わなければならない状況になっています。
■お子様がフリーターの場合・・・
お子様がフリーターかどうかに関係なく、「介護」の問題は、今、日本人全員の共通の問題になっています。
もし、家族の誰かが介護が必要になった場合、介護を必要とされる人の配偶者、例えば、父親が介護を必要とする状況になった場合、母親が面倒を見ることが多いと思います。しかし、その後、父親が亡くなり、母親が介護を必要とする状況になってしまった場合、子供が介護をする必要があります。
その時に、お子様が正社員であれば、企業により異なりますが、介護による休暇制度を設定しているところもあります。また、雇用保険の介護休業給付により、家族を介護するために会社を休んだ場合、最大3ヶ月間、賃金月額の40%が支払われます。
正社員の場合でも、家族や親族が介護を必要とする状況になった場合、まだまだ充実している訳ではありませんが、フリーターの場合は、もっと厳しい状況が待ち受けています。
フリーターの場合、介護による休暇制度を設定しているところはほとんどありません。また、ほとんどのケースで、フリーターは雇用保険には加入していませんので、雇用保険の介護休業給付も受けることができません。
したがって、フリーターが親の介護をするとなった場合、その時点で収入がストップしてしまうのです。別居の家族等に依頼する場合、別居の家族等にもそれぞれの事情がありますので、引き受けてもらえるかどうかは分かりません。もし、介護を引き受けた場合でも、同居している方が、介護に一切関わらないという訳にはいかないでしょう。
また、事業者に介護をお願いする場合、当然のことながら、家族や親族が介護をする時よりも、介護に関する費用の負担が多くなってしまいます。ちなみに、介護施設に入所すればいいのでは?と思う方もいるでしょうが、全国の介護施設は入所待ちの方が非常に多くなっている状況ですので、すぐに、入所はできないのが現状です。
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