【2013年 第1回 フリーターが急増中!フリーターは他人事ではない】
”フリーター”親子のライフプラン、キャリアプランへの影響
岡田 佳久(オカダ ヨシヒサ)⇒ プロフィール
ライフプランを考える上では、お子様がいらっしゃる家庭であれば、お子様が学校を卒業した後は就職し、その後、自立していくといった考え方が一般的です。しかし、現実は、そのような状況にならない場合も増えてきているのです。
“フリーター”は、他人事ではないとともに、お子様がフリーターになった場合、親子共々のライフプランに大きく影響します。
■ここ数年、フリーターが急増中!
アルバイトやパートなど、正社員以外の就労形態で生計を立てている人のことを“フリーター”と呼んでいます。
フリーターの人数の推移は<図表1>の通りとなっています。
<図表1>を見ると、フリーターの数は1990年代に徐々に増加していき、2000年代前半には200万人を超えました。その後、フリーターの数はやや減少しましたが、ここ数年は、フリーターの数が徐々に増えてきています。
また、<図表2>では、学校を卒業した後、フリーターになる人の割合を示したデータですが、ここ数年は、その割合が急増しているのです。
(注)「フリーター」について、労働力調査(詳細推計)では、「若年層のパート・アルバイト及びその希望者」としている。ここでは、便宜上、文部科学省資料の「卒業者数」の計表にある「一時的な仕事に就いた者」と「左記以外の者」(就職でも進学でもないことが明らかな者)の合計とした。
・フリーター比率=フリーター数/就職者数+フリーター数×100
■フリーターになるパターン
学校を卒業した後、自分の夢を叶えるために、フリーターを選択している人もいますが、一般的にフリーターになるパターンは次の2つです。
Ⅰ:就職活動を行ったが、就職先が決まらなかった。
Ⅱ:学校を卒業後、就職をしたが、早期離職をしたために、次の就職先が見つからなかった。
Ⅰ:就職活動を行ったが、就職先が決まらなかった。
毎年、学生の就職状況が厳しいといったニュースが流れています。毎年、大学を卒業した人のうち、就職が決まった割合は60~70%です。また、大学院などへの進学は10%前後です。それ以外の20~30%の人が、正社員として就職が決まっていない状況です。
これは、全大学の平均ですので、上記の数値は大学によって誤差が生じることがあります。
そして、就職が決まらなかった場合は、「既卒者」として就職活動を続けることになります。企業側では、「卒業後3年間は、新卒枠で応募可能にすること」を努力義務として課されていますが、「既卒」で就職活動を行うとなった場合、大変、厳しい状況があります。「2012年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査 結果報告」によると、既卒者の内定率は23.6%となっています。
したがって、やむを得ず、フリーターで収入を得ていくことになる場合が多いのです。
Ⅱ:学校を卒業後、就職をしたが、早期離職をしたために、次の就職先が見つからなかった。
以前から、新入社員の早期離職が問題になっています。
いわゆる「七五三現象です」。七五三現象とは、就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職する現象のことをいいます。
厚生労働省が平成24年10月に「新規学卒者の離職状況に関する資料一覧」を公表しましたが、平成21年3月に大学を卒業し就職をした約43万人のうち、約12万人(28.8%)が3年以内に退職しています。
入社後、短期間で離職をした場合、面接を行う企業側からすれば、「何か社会人として問題があるのでは?」、「ウチの会社に入社してもすぐに辞めるのでは?」と思われてしまいます。結果として、次の就職先を見つけるのがなかなか難しい状況になっています。
そして、短期間で離職をした場合も、その後はやむを得ず、フリーターで収入を得ていくことになる場合が多いのです。
このように、卒業までに就職を決めることが難しい状況であるとともに、就職後も短期で離職してしまうケースもあることから、フリーターは決して他人事ではありません。
■フリーターの平均年収は100万円前後
フリーターの収入に関する公的調査は少ないですが、2004年に UFJ総研(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)が発表した調査レポートによれば、フリーターの平均年収は106万円となっています。約10年前の調査になりますが、アルバイトの時給が10年前と比べて飛躍的に上昇していないことから、現状のフリーターも同じぐらいの年収だと思われます。
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