【2013年 第2回 フリーターが急増中!フリーターは他人事ではない】
”フリーター”親子のライフプラン、キャリアプランへの影響
岡田 佳久(オカダ ヨシヒサ)⇒ プロフィール
フリーターになると、何が問題なのか?今回は、キャリアプランに視点を当ててお話ししていきます。20代前半の時であれば、正社員と比べてあまり差がないかもしれませんが、20代後半または30代になった時に、その差は大きくなってしまいます。
■いつかはフリーターから抜け出したい
前回のコラムで、フリーターになるパターンをお話ししましたが、フリーターになりたくないから、フリーターにはならない・・・ではなく、やむを得ず、フリーターになっている場合が多くなっています。
そして、多くのフリーターの方が、できるだけ早く正社員として働きたいと希望しています。
<図表1>は古いデータになりますが、「フリーターが希望する雇用形態」に関するデータです。このデータでは、正社員を希望される方が大多数を占めています。そして、現在でも相談現場においては、正社員を希望されるフリーターの方が多くなっています。
■フリーターから正社員へ・・・厳しい状況
しかし、一度、フリーターになると、そこから抜け出すのがなかなか難しい状況になっています。
<図表2>も古いデータになりますが、「フリーターを正社員として採用する場合の企業側の評価」です。
このデータからは、10社のうち3社は、履歴書の職歴の欄の中に“フリーター”と書かれていた時点で不採用に傾いているといっても言い過ぎではありません。書類選考の時点で不採用とする場合も多いでしょう。
そして、「ほとんど影響しない」といった6割の企業でも、採用選考の過程の中では、別の企業で正社員として働いていた人と競争することになります。
中途採用では、社会人としてどのぐらいの経験を積み、どのような能力があるのか?を採用する時の判断基準にしています。ですから、中途採用で応募書類を提出する時は、履歴書だけでなく職務経歴書もセットになっています。
したがって、「補助的な業務」、「定型的な業務」の割合が高く、正社員よりも、「責任ある仕事を任されている」や「新しい仕事に取り組む機会がある」、「職業訓練を受ける機会」が少ないフリーターにとっては、不利になりやすい状況にあります。
フリーターを取り巻く環境は、フリーターのビジネススキルの向上になかなか繋がらないのが現状です。
平成15年版国民生活白書によると、正社員とフリーターのパソコンに関するスキルを比較すると、フリーターの方が「やや劣る」といったデータも出ています。
平成15年の時点と現在とを比べると、現在の方が高度なパソコンスキルが求められますので、正社員とフリーターとのパソコンスキルの差がさらに開いている可能性があります。
そして、パソコンスキル以外にもこのような傾向があると思われます。
このような状況から、フリーターの期間を職務経験として評価しない企業が、現在でもまだまだ多いのが現状です。ですから、一般的にフリーターの期間が長ければ長いほど、正社員として就職するのが難しくなっています。
■一度、フリーターになるとなかなか抜け出せない
ニュースなどでも報道されていますが、以前よりも、非正規雇用の割合が高くなっています。総務省統計局「労働力調査」によると、1990年の非正規雇用の割合(全年齢平均)は、男性が8.7%、女性が37.9%でしたが、2012年には非正規雇用の割合(全年齢平均)は、男性が19.6%、女性が54.7%となっています。
特に、15歳~24歳、25歳~34歳の非正規雇用の割合が、男女ともに以前より高くなっています。
非正規雇用の割合の増加にはさまざまな理由が考えられますが、理由の一つとして、正社員の数の減少が考えられます。
そして、“フリーター”と聞くと、20代のイメージがあるかもしれませんが、30代以上のフリーターの数も年々増加しています。 <図表3>は、高齢フリーター(35歳~54歳)の推移を示したデータです。
この数値には、30代以上で会社を退職し、その後、フリーターになっている方も含まれていますが、20代からフリーターで働き、30代もそのままフリーターとして働いている方の割合が多数占められています。したがって、一度、フリーターになるとなかなか抜け出せない状況があります。
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