【2013年 第4回 ライフプランから見たフリーターの今後(60代まで)】
”フリーター”親子のライフプラン、キャリアプランへの影響
岡田 佳久(オカダ ヨシヒサ)⇒ プロフィール
フリーターになると、何が問題なのか?今回は、まだまだ先のことである方が多いとは思いますが、60代以降、いわゆる老後のライフプランに視点を当ててお話していきます。これまで、フリーターになった場合の問題点についてお話してきましたが、60代以降も予想される状況についてお話しておきましょう。
■老後の主な収入源は公的年金だが・・・
現在、60歳以降の主な収入源は公的年金となっています(図表1を参照)。ただし、この公的年金は、原則として25年以上、年金保険料を支払わなければ、老後の公的年金を受給することができません。
フリーターの場合、国民年金のみの加入となっている場合が多いのですが、この国民年金保険料の納付率は約60%となっています。納付をしない理由は、「将来の公的年金制度の崩壊の不安」、「毎月、約15,000円の国民年金保険料を支払うことができない」などです。
個々の理由があるとはいえ、国民年金保険料が未納の状況であれば、将来、受け取ることができる老齢年金の受給額もその分だけ低くなります。詳しくは、<老齢基礎年金・受給額:計算式>を参照してください。
<老齢基礎年金・受給額:計算式>
平成24年度年金額 786,500円(満額)×〔保険料納付月数+(保険料全額免除月数×8分の4)+(保険料4分の1納付月数×8分の5)+(保険料半額納付月数×8分の6)+(保険料4分の3納付月数×8分の7)〕/加入可能年数(原則40年)×12(月)
(例)
・保険料納付月数が480月(40年)の場合
786,500円×480月/480月=786,500円(1年間の年金支給額)
(月額:約65,000円)
・保険料納付月数が360月(30年)の場合
786,500円×360月/480月=589,875円(1年間の年金支給額)
(月額:約49,000円)
・保険料納付月数が300月(25年)の場合
786,500円×300月/480月=491,562円(1年間の年金支給額)
■フリーターの場合、支給される年金額に不安があり、生活の困窮が予想される
上記図表2を見てもわかりますように、国民年金に厚生年金が上乗せされる正社員と比べて国民年金のみの場合、国民年金保険料の未納月数が全くなかった場合(満額)でも、支給される年金額のみでは、老後の生活を行うのが難しい現状です。そして、未納月数が増えれば増えるほど、支給される年金支給額が減りますので、「毎月、約15,000円の国民年金保険料を支払うことができない」といった理由で、国民年金保険料を滞納しているのであれば、今だけでなく、将来の老後の生活も苦しくなってしまうでしょう。
また、国民年金には免除制度もあります。しかし、免除されている期間が長ければ長いほど、その分だけ受給できる年金額も下がってしまいます。免除制度を利用するのがダメだとは言いませんが、今だけのことを考えるのではなく、将来のことも考えておく必要があります。
さらに、前回の時にお話ししましたが、年間収入が低いほど、金融資産(貯蓄)の保有額が少ない状況にあります。したがって、最悪の場合、公的年金の受給ができない、または受給ができる場合でも受給額が低い。さらには、ほとんど貯蓄ができていない場合、60歳以降(老後)の生活は、非常に苦しい状況になってしまうでしょう。
ちなみに、60歳の方の平均余命(※)は、平成23年度時点で、男性が22.7歳、女性が28.1歳となっています。男性、女性に関係なく80歳まで生活していくことになります。老後の収入がかなり低い、またはほとんどない状況であれば、やがて家計は破たんしてしまうでしょう。
(※)平均余命:ある年齢の人々が、その後、何年生きられるかという期待値。
中には、途中で結婚すれば、相手に養ってもらう、といった考えを持っている方もいるでしょうが、結婚相手が見つかる保証はどこにもありません。また、結婚相手もフリーターであった場合、さらに、苦しくなってしまうことも予測されます。
そして、最悪の場合、日本ではセーフティーネットとして、「生活保護制度」があります。しかし、昨今の不況により、生活保護を受給される方が増加しています。私たちにとって、セーフティーネットは非常に重要な部分ですが、政府や市区町村の財政もかなり圧迫していることから、「将来、生活に困ることがあれば、生活保護を受ければいい」といった考え方が成立しない可能性もあります。
■今だけではなく、将来のことも考えて・・・
フリーター自身のライフプランについて、2回にわたってお話ししてきましたが、非常に厳しい現実となっています。
そのようにならないために、対策を打っておくことはたくさんありますが、対策の一つとして、収入のすべてを支出として使ってしまうのではなく、将来のことも考えて最低限、公的保障の保険料の支払いをし、できる範囲で貯蓄をしておきましょう。
そのためには、まずは毎月の支出の項目を把握することから始めましょう。図表4は世帯一人当たりの支出の内訳です。自分の生活と比べてみて節約できる部分はないのか?無駄な支出はないのか?を考えてみましょう。収入のギリギリの範囲内で生活をされている方もいるでしょうが、わずかでも捻出して貯蓄しておきましょう。親と同居している場合は、食費の部分を親に渡し、住居費と光熱費の分を貯蓄するという発想で、毎月2~3万円ずつ貯蓄へ回すことが可能でしょう。
毎月、2~3万円ずつ貯蓄することで、1年間で24~36万円を貯蓄することができます。
さらに、10年間継続することで、240~360万円もの貯蓄をすることができます。
貯蓄だけでは根本的な解決にはなりませんが、老後も含めて、イザと言う時には”お金”が必要になってきます。その時のために、まずは貯蓄が必要です。
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