【2017年 第1回】銀行員のあるある話
元銀行員が教える、知って得する「銀行あるある」
松原 季恵
銀行には堅く厳しいイメージがあり、窓口に行くのは緊張すると感じている人も少なくないのでは?
その緊張感は時に「わからない」と言わせない雰囲気を作り、内容を理解せず、また、聞きたいことも聞けずに手続きが終わってしまうことがあります。しかし、それでは皆さんの大切なお金に関わる大事な情報を得ることができません。
このコラムでは銀行員時代に学んだ、銀行にありがちで陥りがちな「銀行あるある」の教訓をお話ししたいと思います。
銀行員の仕事は泥臭い
私が銀行員の時「銀行は15時に閉まるよね。そこから帰っているの?」と聞かれたことがありました。いいえ、銀行の仕事はむしろそこからが勝負です。預金担当では1分でも1秒でも早く勘定が合うように確認をします。以前と比べてシステム化されていますので、勘定が合わずお金を探し回るようなことはほとんどありませんが、勘定があったら毎回全員で拍手をする、そんな支店もありました。
営業では当日大きな取引があった先や日頃から担当しているお客様に電話や訪問を行います。場合によっては一軒一軒訪問することもあります。住宅ローンの借り換えを担当していた頃は、取引の無いご家庭に突撃訪問をしていました。知らずにライバル行に勤めている方の自宅に訪問し、大目玉を食らったことも。
涼しい顔をして仕事をしているような印象があるかもしれませんが、銀行員の仕事はすごく泥臭いです。その分、営業成績があがると非常に嬉しいものです。銀行とは言え、仕事をしているのは「人」。恐らく皆さんが想像しているより、柔軟な対応ができます。
例えば普通預金や定期預金の取引も内容によっては自宅で行うこともできますし、住宅ローンの金利であっても、交渉次第で下げることもできます。分からないことは恥ずかしがらずに聞いてみる、ローンの返済に困っていれば相談してみる。さまざまなことを聞いたり相談したりすることで銀行員のスキルを試すこともできます。それは信頼できる銀行マンと付き合うコツでもあります。
正確さは第一!修正はとことんする
銀行員であっても、当然ミスがあります。そのミスがお客様に関われば、修正に時間を取られてしまうことがあります。
例えば書類の記載ミス。銀行には言葉が難しい数多くの書類がありますので、銀行員であっても全てを詳細まで把握していません。行員の指示で間違った記載をお客様がされた場合でも、訂正にお客様の印鑑が必要な場合があります。不慣れな行員だと、申込書類が訂正印で真っ赤、なんてこともあるでしょう。
また、物が無くなるのも大きな問題です。例えば取引が行われた伝票や取引額と異なる現金をお客様に返してしまったような場合は大問題。何時であっても取り戻しに駆けつけます。そうなれば、お客様が面倒に巻き込まれることも…ミスはあるものと思って注意しておくのが賢明です。
銀行員は運用のプロではない
銀行では投資信託や保険も販売しています。そのため、お客様の中には銀行員が運用や保険のプロだと考えている人も少なくありません。しかし銀行員はそれらの商品の販売のプロであっても、運用するプロではありません。
「銀行員さんがお勧めするから」という理由で投資信託を購入する方もいらっしゃいますが、それは望ましくありません。その勧めたと思った商品は単純にその行員にとって話しやすかった商品というだけかもしれません。投資信託や保険などの運用は、最終的には全て自分の判断で行います。利益が出ればいいですが、損失が出てもそれは投資したお客様自身の責任になります。
リスクを伴うような運用をする場合は特に銀行もしくは銀行員の「信用」だけで商品を選ぶことは避けたいです。さまざまな金融機関や専門家から情報を得て、それでもその商品が購入したいと結論が出てから、改めて慣れ親しんだ行員さんと取り引きするのも遅くはないでしょう。
銀行員に対して一様に「あるある」と思う強いイメージがある人も少なくないでしょう。しかし、実際に仕事をしているのは「人」。さまざまな行員がいます。銀行とではなく担当者と取り引きをするぐらいにお互いのことを理解して、付き合うことができれば、皆さんにとっても有益な情報が入るようになるでしょう!
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