【2012年 第4回】 乳がん完治から何年で保険加入できる!?
ケース別コラム – 最新の「保険」商品情報!
久保 逸郎 (クボ イツロウ)⇒ プロフィール
今年に入ってから過去に乳がんを発症して手術を受けたことのある女性からの保険相談を2件受けました。両方とも相談を受けるだけで終わらず、最終的には保険の見直し手続き(実行支援)までお手伝いをすることになりましたが、保険会社によって加入諾否の判断が大きく分かれる結果となりましたのでここでご紹介します。
<38歳女性のケース>
この女性は約12年前に乳がんを発症。乳房切除術を受けて完治しました。完治以降に2人の子供を出産、また最近は看護師の仕事にも復帰されていて、日々育児と仕事の両方を頑張られています。現在は1年に1回のペースでがんの定期検査を受けていますが、検査結果は問題はありません。その他の健康状態も問題なく、毎年の定期健康診断の結果も全て正常の範囲でした。
昨年にご自宅を新築されたことや、独身時から実家の両親が掛けてくれていた保険があと約3年で保障が切れてしまうことなどから、今回保険を見直してみようと思われたそうです。ライフプランを作成するなどして私のほうでコンサルティングを行っていった結果、ご主人の死亡保障を減らして、配偶者であるこの女性の死亡保障を増やしたほうがいいということになり、住宅ローンの返済期間に合わせる形で保険期間70歳までの収入保障保険の加入を検討することになりました。また、ご本人から終身医療保険にも加入したいという強い希望を受けました。
■収入保障保険では3つの判断
それから保険会社各社に状況を伝えて加入諾否の可能性を調べました。収入保障保険は商品競争力の高い5社に対して打診したところ、そのうち2社は現在もがんの定期検査を受けていることを理由に加入が難しいとの回答がありました。両社ともがん保険に力を入れるなど、がん分野に力を入れているイメージがあったので意外な感じです。また、別の1社は「乳がん完治から15年を経過しないと加入が難しい」という返事でした。
「保険加入できる可能性があります」という回答があったのが残りの2社。申込みと診査を受けなければ最終的な判断が出てこないため、そのうちの1社のほうで申込みを行い、がんの定期検査と定期健康診断の結果を持参して病院での診査に足を運んでもらったところ、保険会社から約1週間後に結果の連絡がありました。結果は保険料払込免除特約の付帯は不可、3年間の保険金削減という特別条件が付くことと、非喫煙体料率の適用はできずに標準体料率の適用という結果でした。いずれも事前に想定した範囲であったことと、あと3年間は加入中の保険の保障があることから、この結果を承諾する形で収入保障保険に加入されました。
■終身医療保険でも分かれた判断
もう一方、終身医療保険のほうは3社に打診して、そのうち2社は引受不可という回答でした。しかし、人気商品を持つ1社は「大丈夫でしょう」という回答がきたので、その保険会社で申込みを行ったところ、とくに条件等も付かずにすんなりと加入ができました。
<62歳女性のケース>
この方は乳がんの手術を受けたのが20年以上も前のこと。毎年がんの検査は受けているそうですが、検査で問題はありません。病院関係に長いこと勤めていて、自身の健康管理も出来ている様子で、定期健康診断の結果も全て正常です。現在は大手生保の定期付終身保険に加入中でしたが、翌年に更新を控えており、「年金生活に入るのに毎月3~4万円も保険料は払えない」ということで相談に来られました。
生活状況はずっと独身で過ごしてきていて、現在は姉と同居中とのこと。保険金を残す必要もなく、万が一の場合の身辺整理費用程度で十分な様子。それも銀行で一時払終身保険に加入してカバーできているため、「この際定期付終身保険をやめて、新たな保険加入もしなくてもいいのでは」とアドバイスを行いました。しかし、ご本人が「どうしても医療保険には入りたい」と希望されます。そこで定期付終身保険はやめてしまって、終身医療保険のみ加入する方向で進めました。
とりあえず本人が気に入ったA社商品で申込手続きを行って、あと2社に対して加入できるかどうかを確認するという形で進めたところ、すんなりとA社商品に加入できました。追加告知等も求められませんでしたし、特別条件なども付きませんでした。
一方、確認を行った2社のうちの1社は「たぶん大丈夫」との返事でしたが、もう1社は「定期的に検査を継続されているので難しい」という回答でした。
これらのケースでわかるように、乳がんが完治してから10年~15年が経過していれば、保険加入できる可能性は十分あります。しかし、これは他の傷病を含めてですが、保険会社によって加入諾否の判断結果は全く異なるので、1つの保険会社で加入が出来なかったからといって諦めずに、他社にも当たってみることが大切になります。どうしてもという時には専門家に相談するなどしてみてはいかがでしょうか。
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