【2015年 第5回 投資信託の基礎3 ~投資信託の運用スタイル~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
今回は、「投資信託の運用スタイル」についてみていきます。 投資信託の運用スタイルは、「インデック型の運用をする投資信託」と「アクティブ型の運用をする投資信託」の違いから説明を始めるのが一般的ですが、このコラムでは、投資信託(以下:ファンド)の運用の良し悪しを測るベンチマークとして利用される「インデックの種類」「それぞれのインデックスの特徴」を知ることが大切かと考え、以下その部分に焦点を当てみていきます。
尚、前回コラムの予告とは、異なる内容になりましたことをお詫びいたします。
はじめに
投資信託を説明する時に、「インデックス・ファンド」は「アクティブ・ファンド」に比べて、リスク・リターンが低く、安定した運用が期待できると説明されます。
日本の株式市場の代表的なインデックスとしては、TOPIX、日経平均、JPX日経インデックス400等があります。
米国では、NYダウ、ナスダック指数、S&P500インデックス等が有名です。また、世界には1万以上ものインデックスがあるようです。
そのファンドが、どのインデックスをベンチマークとして採用しているかによって、東証1部やニューヨーク市場等、同じ市場に投資をしていても個々の運用の成果が異なってきます。
近頃は、スマート・ベータ指数という新しいタイプのインデックスも出てきています。
どのような運用成果を期待するかによって、インデックスを選ぶ必要性は、以前より高まっていると考えます。以下、日米及び世界の株式に対する代表的なインデックスについてみていきます。
日本株の代表的なインデックス
日本の代表的なインデックスとしては、東証1部の銘柄を対象にした「TOPIX」と「日経平均」があります。また、東証上場銘柄(東証1部2部、マザーズ、ジャスダック)を対象として、2014年1月より算出を始めた「JPX日経インデックス400」があります。
<TOPIX>
東証1部に上場している全銘柄の時価総額(株価×発行済み株式数)を平均した株価指数、時価総額加重平均型株価指数になります。指数の変動は、トヨタや三菱東京UFJ、三井住友FG、みずほFG等の時価総額の大きな会社の株の値動きに左右されます。
<日経平均>
東証1部に上場されている銘柄から代表的な225銘柄を日経が選び、単純に平均株価を算出します。発行済み株式数を考慮しないため、ファーストリテイリング(ユニクロ)やキーエンス等の株価の高い会社(値がざ株)値動きに左右されます。時代に応じて、古い業種からIT等の新しい業種の銘柄への入れ替えが行われます。
<JPX日経400インデックス>
東証上場銘柄(東証1部2部、マザーズ、ジャスダック)の中から400銘柄を選び指数を算出します。自己資本を効率的に使い利益を稼いでいるかをみるROE(自己資本利益率)や営業利益等も考慮して銘柄を選択します。また、銘柄の見直しは毎年行うという特徴もあります。
日本における「スマート・ベータ指数」の代表的なインデックスになります。
米国株の代表的なインデックス
米国の代表的なインデックスとして「NYダウ」、「ナスダック指数」が有名ですが、ここでは、それ以外の代表的なインデックスに取り上げていきます。
<S&P500インデックス>
スタンダード・アンド・プアーズ社が米国の証券取引所(ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、NASDAQ)に上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出します。TOPIXと同じように時価総額加重平均型株価指数になります。
<ウィルシャー5000>
米国のウィルシャー・アソシエイツ社が米国の証券取引所(ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、NASDAQ)に上場している米国に本店を置く全ての企業の普通株式を対象にして指数を算出します。この指数も時価総額加重平均型指となります
その他には、中小型株に分類される銘柄の動き(パフォーマンス)をみる、ラッセル2000や3000等といったインデックスもあります。2000、3000は採用銘柄数を表します。
世界の株に対する代表的なインデックス
世界の株価指数をみるインデックスとしては、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が時価総額加重平均で算出したMSCI指数があります。
MSCI指数は、国や地域、業種等に分けてインデックスがあります。その中で、国や地域を分けた代表的な指数を3つみていきます。
<MSCI ACWI >
ACWIは「All Country World Index」の頭文字になります。先進国24カ国、新興国21カ国の合計45カ国で構成されたインデックになります。
<MSCI コクサイ>
日本を除く先進国22カ国で構成されたインデックスになります。
構成国と地域は、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、アイルランド、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ベルギー、ポルトガル、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルになります。
また、日本を含んだ先進23か国のインデックス「MSCIワールドインデックス」になります。
<MSCI エマージングマーケット>
新興国で構成された指数になります。なお、先進国、新興国(エマージング)以外にフロンティア国という分類もされています。
MSCI指数の構成銘柄や国、地域は年に数回見直しが行われます。
まとめ
以上、インデックス・ファンドが連動を目指す代表的なインデックス(指数)についてみてきました。但し、インデックス・ファンドにも、いろいろな種類のものがあります。
インデックス・ファンドを選ぶ際には、「どのインデックスに連動してされてなるのか」、「そのインデックスはどのようなタイプで、どの地域や業種、銘柄等をカバーするインデックスなのか」等を確認し、その特徴を理解して選ぶようにしましょう。
また、不明な点があれば、説明した担当者へ確認する習慣をつけましょう。
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