【2015年 第10回 投資信託の基礎8 ~運用報告書と月次レポートの見方~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
基準価額については、新聞や各運用会社のホームページ等で確認することができます。 ただし、基準価額の変動要因(値上がり値下がり)については、運用会社が発行する各種レポートにて確認することになります。 今回は、運用状況を確認する主な資料である「運用報告書」「月次レポート」についてみていきます。
はじめに
ファンド(投資信託)を購入し保有していますと、「運用報告書」が販売会社から郵送されてきます(ネット上で確認することもできます)。
月次レポートは、毎月決まった日(土日祝日の場合後ずれ)の運用会社のホームページに掲載されます。
両方とも運用会社のホームページ上で閲覧することができますので、ファンド選びの段階でも活用できる資料です。
今回は、「運用報告書」と「月次レポート」に記載されている主な内容についてみていきます。
運用報告書について
投信法の改正により2014年12月から運用報告書は、「交付運用報告書」「運用報告書(全体版)」の2種類作成されることになりました。
ファンドの保有者に郵送されるのは、「交付運用報告書」になります。
交付運用報告書は、投資の初心者にもわかり易くするため、以下の重要事項の説明に図表やグラフ等を使い、文章も平易にしています。
主な記載内容は、
1. 基準価額と純資産の推移についてのグラフ
2.直近(報告期間)の「基準価額の主な変動要因」「投資環境」
3.今後の運用方針
4.分配金の金額とその内訳
5.1万口当たりの費用明細
等です。
交付運用報告書は、ファンドの決算が年1回、年2回、毎月等より作成のタイミングや回数が異なります。年1回の場合は、年1回の作成、年2回や毎月等の場合は、一般的に年2回作成されます。一般的に決算終了後1,2か月後に作成が終了し、郵送されます。
「基準価額の変動要因」「投資環境」「今後の運用方針」を確認する場合は、月次レポートの方がタイムリーな情報を得ることができます。
毎月分配型など分配金を重視したファンドで運用している場合、「分配金とその内訳」の表を確認しておきましょう。下記の表は、月次レポートには記載されていません。
当期分配金を当期の収益で賄っていれば、分配金の原資にあたる「翌期繰越分配対象額」が減少することはありません。当期の収益以外から分配金を支払っている場合は「翌期繰越分配対象額」が減少し、将来的に分配金が引き下げられる要因になります。
「分配金とその内訳」
項目 | 第15期 | 第16期 | 第17期 |
2015年1月10日~2015年2月9日 | 2015年2月10日~2015年3月9日 | 2015年3月10日~2015年4月9日 | |
当期分配金(税引前) | 50円 | 50円 | 50円 |
対基準価額比率 | 0.51% | 0.52% | 0.50% |
当期の収益 | 35円 | 50円 | 40円 |
当期の収益以外 | 15円 | 0円 | 10円 |
翌期繰越分配対象額 | 3500円 | 3520円 | 3510円 |
月次レポートについて
月次レポートには、運用実績に関する「基準価額や純資産の推移」「分配金実績」やレポート作成時点の「国別や業種別の構成」「騰落率」「前月の投資環境」「今後の投資環境の見通しと運用方針」等と、「ファンドの特色」や「主なリスク」、「費用について」等の交付目論見書に記載されている内容が記載されています(記載項目は、ファンドにより若干ことなります)。
先程も触れましたように月次レポートは運用報告書に比べて「国別や業種別の構成」「前月の投資環境」「今後の投資環境の見通しと運用方針」「騰落率」等の状況をタイムリーに確認できます。
「騰落率」は、税引き前分配金を再投資したものとして計算します。実際の投資家の利回りとは異なりますが、基準価額の変動(値上がり値下がり)による影響と分配金による収益を加味したトータルな運用状況を把握することができます。
まとめ
以上、ファンド購入後に運用状況を確認できる2つの資料についてみてきました。
それ以外にも、市場に大きな影響を与えるような政策やイベントについて、別途臨時のレポートが運用会社のホームページ上にされるケースもあります。
ファンドの運用は、ファンドマネジャー(運用担当者)が行いますが、運用結果については購入した人が責任を負います。ファンドを購入・保有したら各種レポートをチェックし、不明な点は、販売会社に確認することが必要です。
次回は、年代別にファンドの投資方法についてみていきます。
以上、目論見書の記載内容についてみてきました。
次回は「運用報告書」と「月次レポート」についてみていきます。
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