【2015年 第11回 投資信託の基礎9 ~投資信託で活用するNISA~】
インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
NISA(少額投資非課税制度)が来年(2016年)から変わります。
その変更点(年間投資額の上限拡大)と新しく開始されるジュニアNISAの概要を確認しながら、投資信託でのNISAの活用方法について考えていきます。
*当初予定していました「投資信託の年代別活用法」は12月に変更させていただきました。
NISAの変更点と注意点
2015年1月から年単位の金融機関の変更が可能になりました。
2016年1月から年間の投資額が従来の100万円から120万円に変更なります。
2016年変更のポイントは、12の倍数にすることで毎月の積立投資の金額計算がし易くした点にあります。
また、12の倍数したことにより使い勝手が向上した点は、分散投資で株やリート、投資信託(公募株式投資信託)を利用した3分類の投資先に、更にそれぞれ国内・海外に分けて6分類する時に、それぞれの資産に割り当てる年間投資金額の計算がし易くなったことです。
2016年の変更点については、特に注意点はありません。
2015年に変更された年単位の金融機関の変更が可能になった部分は、注意が必要です。
NISAで投資信託を活用する場合、5年間の非課税期間終了後「ロールオーバー」を使い、合計10年間の非課税期間を活用した長期投資を考える方が多いかと考えます。
*ロールオーバーとは、5年経過後新たに開設される非課税口座に5年間の非課税期間が終了する口座から120万円を限度に移管できる仕組みです。
「ロールオーバーができるのは同一金融機関のみ」
「変更した先の金融機関のNISA口座へロールオーバーできない」
という決まりがあるという点に注意が必要です。
ロールオーバーを活用した長期投資を考えるのであれば、最初に選ぶ金融機関の選択を慎重に行うようにしましょう。
ジュニアNISAの概要と注意点
子どもの将来に向けた資産運用(資産形成)のための制度として、2016年にジュニアNISAがスタートします。1月に申込み受付が開始され、4月から投資できるようになります。
日本に住む0~19歳の未成年者が口座開設でき、運用に関して親権者が代理で行うことができます。口座の開設手続きの際に個人番号カード等を提示し、個人番号を告知する必要(マイナンバー制度の活用)があります。毎年の投資上限額は80万円になります。
また、20歳以降は自動的にNISA口座が開設され、そこで運用することができます。
但し、2023年にNISA口座開設期間が終了します。それ以降に20歳になる方は、ロールオーバーできる新規の口座開設ができないため、20歳になるまで継続管理勘定という非課税口座にて保有することになります。ただし、継続管理勘定への新規投資はできません。
注意点は、原則18歳まで払い出しができない、口座開設後に金融機関の変更ができない等があります。
投資信託を利用したNISAの活用について
NISA及びジュニアNISAとも長期運用が基本になるかと考えます。
特にジュニアNISAで0歳の子どもが活用した場合18年間は原則払い出しができないため、その傾向が強まります。
長期運用で投資信託を考えた場合には、テーマやトレンドによって銘柄を選択するファンド(テーマ型ファンド)は、業種や地域が偏り、いい時と悪い時(ブームが去った時)のブレ幅(リスク)が大きくなる可能性があり、避けた方がいいかと考えます。
また、投資信託のコストに対しても目配りが必要です。特に保有期間中に掛かる信託報酬について注目しておきましょう。
仮に10年間保有した場合、信託報酬2%のファンドと、1%のファンドを比べた場合、
「(2%-1%)×10年間=10%」のコスト差があり、その分運用利回りを低下させる要因になります。
複利効果を考えた場合、分配金のほとんど出さないか、分配金を出すファンドでも分配金を再投資する方が、非課税制度による効果を期待することができます。
ジュニアNISAについては、18歳以降に払い出しが可能という点から、教育資金準備の1つの選択肢として活用されることが考えられます。
以上、NISAの変更点と注意点、ジュニアNISAの概要と注意点、投資信託を利用したNISAの活用法についてみてきました。
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