【2013年 第12回 発つ鳥、後を濁さず(3)】
自営業者 40歳からのセカンドライフ計画
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
「自営業 40歳からのセカンドライフ計画」の第12回目になります。
10回目~11回目までは、「発つ鳥、後を濁さず」というタイトルで「贈与」「相続」についてみてきました。最終回の「葬儀とお墓」になります。
はじめに
近年、少子化の影響や社会環境の変化もあり、「葬儀やお墓」についての考え方も多様化しています。以前ですと、子や親族が多い家庭が多く、「葬儀費用や墓地・墓石の準備をどうするか」を考えておけばよかったのですが、近年は、少子化の影響などにより、残された家族や親族の方が埋葬後に負担されるお墓の管理費や法要に掛かる費用についても考えておく必要があります。
1.葬儀に関するアンケート調査から
2009年にメモリアルアートの大野屋が「葬儀に関するアンケート調査」を関東地方の312名(40~60代の)対して実施しました。
アンケートの質問内容は、
①直近で行った葬儀の準備を事前にしていましたか。
②直近で行った葬儀の費用(一式)を教えてください。
③直近で行った葬儀の満足度を教えてください。
④ご自身の葬儀を生前に準備しておくことについてどう思われますか。
⑤葬儀において重要だと思うことは何ですか。
になります。①~③は過去5年以内にご家族の葬儀があった方に聞いています。
質問①の事前準備に関しての結果(単回答)は、
質問②の葬儀費用の結果(単回答)は、
④のご自身の葬儀の準備に関しての結果(単回答)は、
男女別でみますと「必要」と答えた方は、男性58.3%、女性73.1%でした。
⑤葬儀において重要だと思うことは何ですか、の結果(複数回答)は、
上位3つの項目への関心の高さが伺えます。
④の結果から、ご家族の葬儀を経験された方、経験されていない方にかかわらず、ご自身の終活が必要だと感じている方が多いことがわかります。
葬儀費用については、②の結果から100万円~300万円の金額が多いようです。また、⑤の結果のように費用に対する関心が高いこともわかります。
2.葬儀費用に備えるための保険
葬儀にかかる費用は、大きく3つに分類されます。
①通夜からの飲食接待費
②寺院への費用
③葬儀一式の費用
になります。費用の平均額が以下の表のとおりです。
②寺院への費用は、葬儀の時にお布施として支払います。預貯金で準備をしておく方がいいでしょう。
①通夜からの飲食接待費と③葬儀一式の費用については、預貯金で用意する以外に、保険金支払いまでの期間が、終身保険に比べて短い「少額短期の死亡保険」の活用が考えられます。
少額短期の死亡保険は、保険期間は1年の毎年更新型の保険になります。年齢に応じて保険料が上がります。保険金額の変更はありません。保険金の額は、30万円~300万円(保険会社により最高保証額は異なる)の範囲内で金額により数パターンが用意されています。
保険金の支払いまでの期間は、申請して翌営業日~5営業日ぐらいです。保険会社により加入できる年齢や保険金の限度額が異なります。終活プランを考えた上で、比較検討するようにしましょう。
3.お墓の選び方
お墓にかかる費用としては、
①永代使用料(墓地使用料)
②墓石代(墓所工事代)
③年間管理料
①永代使用料、②墓石代は、お墓を立てる時にかかる費用。
③年間管理料は、お墓を維持管理するため、毎年係る費用になります。
公営の霊園、民営の霊園、お寺など墓地の種類によって掛かる費用も異なりますので、平均的な金額での判断はしづらく部分になります。永代供養墓の場合は、年間管理費が不要の墓所もあります。また、他の故人と一緒に埋葬する合同墓や合祀墓は、②の墓石代が掛かりません。
最近では、残された家族や親族の負担を軽減するために、合同墓や合祀墓を検討される方も増えているようです。どのような埋葬方法にするのか、家族や親族と生前に話し合っておきましょう。
4.その他のお墓の維持費用
その他のお墓を維持する費用として、寺への寄付・法要時のお布施などがあります。
法要は、1周忌、3回忌、7回忌、13回忌、17回忌、23回忌、27回忌、33回忌、37回忌、50回忌と全部で10回あります。原則、法要の費用は「お布施はお気持ちで」となりますが、一回の法要で数万円~数十万円ぐらいの費用が掛かるようです。
残された家族や親族の考え方やお寺の方針によって、法要の回数やお布施の金額が異なってきます。こちらの費用についても家族と話し合う機会を持ちましょう。また、埋葬を希望するお寺の方針や寄付の有無などについても、事前に確認しておきましょう。
5.最後に
「はじめに」でも触れましたが、近年は少子化の影響により、お墓を守ることの負担が大きく、何代か後の世代では、できなくなる可能性も高まっています。
亡くなられる方自身が、納得いく葬儀を行ってもらうための終活の準備も大切ですが、残された家族や親族が負担するお墓の管理費や法要についても、家族や親族とよく話し合っておきましょう。
最後に、「発つ鳥、後を濁さず」を心掛けて、「葬儀とお墓」、「贈与」、「相続」の準備をしましょう。
私のコラムに1年間、お付き合いいただきありがとうございました。
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