【2013年 第6回 セカンドライフ資金を投資商品で】
自営業者 40歳からのセカンドライフ計画
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
「自営業 40歳からのセカンドライフ計画」の第6回目になります。
今回は、国債などの債券や投資信託を活用したセカンドライフに向けた資産運用を考えていきます。また、2014年1月1日から「日本版ISA」(NISA 少額非課税制度)もスタートします。その制度についても併せてみていきます。
はじめに
前回の「個人年金保険」までは、60歳以上から年金や一時金等で受取れる金融商品や制度(国民年金・国民年金基金・個人向け確定拠出年金)についてみてきました。
今回取り上げます、国債などの債券や投資信託は、運用期間や売却時期・購入時期をご自分で決めることができる投資商品になります。「60歳以上でないと」といった制限はありません。
1.債券投資について
債券は償還(満期)まで利率が一定の固定利付債と利率が変動する変動利付債及び、利子の支払いは無いが額面を下回って発行する割引債の3つがあります。
変動金利型の代表的な商品としては「個人向け国債変動10年」があります。
ここでは、最も多く発行されている債券、固定利付債を例に「メリット」と「デメリット」をみていきます。
(メリット)
1.償還まで保有した場合、購入時点で償還までの収益(元本+利子)が計算できる。
2.世の中の金利が下がっても、一定の利子が償還まで支払われる。
3.償還まで保有すれば額面金額で元本が支払われる。
(デメリット)
1.世の中の金利が上がっても、利率は変わらず利子は一定。
2.償還までは、債券価格が変動により途中で売却すると損失が出る場合がある。
逆に、利益が出る場合もある。(個人向け国債を除く)
3.発行した国や会社の状況が悪くなった場合、デフォルト・リスクが発生する。
また、外国債券は、円と投資先の通貨の為替レートにより、円換算で受取れる利子や償還時の元本が 変動する為替リスクや投資先の国の政情不安や金融危機などカントリーリスクがあります。
2.セカンドライフ資金としての債券投資
40歳から60歳まで20年間で債券投資を考えた場合、何度か償還期限になる債券がでてきます。償還期限になった債券の利子と元本を他の債券で運用するか、投資信託などで運用するかを事前に決めておく必要があります。
償還のタイミングが一目でわかるような表などを作成しておきましょう。
長期間の運用では、途中で急に資金が必要になり売却するケースや、外国債券では為替の状況によって売却したほうがメリットのあるケースが出てきます。
最初に、表などを作成しておき、計画的に修正や見直し、変更が行えるように準備してから運用を開始しましょう。
3.投資信託とは
投資信託は、上記の債券のように償還期限(運用期間)が決まっている商品もありますが、無期限で運用する商品も多くあります。商品の選択の仕方により、債券のように償還期限で悩む必要が無くなります。
投資信託の特徴は、
1.少額資金で分散投資ができる。
2.運用はプロの運用担当者(ファンド・マネジャー)が行う。
の2点になります。
また、金融機関よっては、毎月同じ金額で同じ商品を購入する積立型の運用商品を用意しているところもあります。購入するタイミングを分ける(時間分散)ことで、価額(基準価額)が高い時には少なく、低い時には多く購入することができます。それにより、平均購入単価を低く抑えることが期待できます。その運用方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれています。
「セカンドライフ資金」のように長期で運用する場合は、「資産分散」「地域分散」「銘柄分散」「時間分散」など分散して投資をすることがリスクを低減させる上で重要になります。
「資産分散」「地域分散」「銘柄分散」は商品選択によってカバーすることが可能ですが、「時間分散」は「ドルコルト平均法」を使うか、ご自分が安いと思った時に追加で購入するか判断が必要になります。
最後に、日本版ISA(少額投資非課税制度)についてふれておきます。
この制度は、40歳から「セカンドライフの資金を準備する」ための「最初の一歩」として活用するメリットがある制度だと考えます。
4.日本版ISAとは
上場株式や公募株式投資信託の配当や譲渡所得の10%軽減税率は、2013年12月31日に廃止になります。 2014年1月1日からは税率が20%になります。これに伴い、2014年1月1日から日本版ISAがスタートします。
では、日本版ISAのポイントを「平成25年度税制改正の大綱」からみていきます。
1.上場株式・公募株式投資信託などの配当所得や譲渡所得が非課税になります。
(債券で運用している投資信託でも公募株式投資信託に分類されている商品があります。)
2.非課税期間は最長5年。口座開設期間は10年間。
3.1年につき100万円まで投資可能、最大500万円。
4.口座開設年の1月1日現在で満20歳以上の日本の居住者。
以上、4点が大きなポイントになります。
デメリットとしては、日本版ISA口座で購入した株式や公募株式投資信託が値下りした時点で売却した時の損失を課税口座(特定口座や一般口座)の利益との損益通算や、逆に日本版ISA口座で購入した株式や公募株式投資信託の値上がり分と課税口座の損失との損益通算ができない点があります。
以上、「平成25年度税制改正の大綱」を参考に日本版ISAについてみてきました。
まとめ
今年(2013年)を40歳として「セカンドライフ資金」を準備する期間は60歳まで20年、65歳まで25年と長期運用になります。年金タイプの金融商品の運用だけですと、急な出費の発生などに年金タイプの金融商品では対応が難しいと考えました。
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