【2013年 第8回 セカンドライフの住宅事情】
自営業者 40歳からのセカンドライフ計画
恩田 雅之(オンダ マサユキ)
「自営業 40歳からのセカンドライフ計画」の第8回目になります。
セカンドライフの住まい方は、自宅をバリアフリー構造にリフォームする方法と高齢者向けの施設や住宅に住み替える方法の2つに大別されます。今回は、後者の高齢者向け施設や住宅への住み替えるに焦点を当ててみていきます。
はじめに
高齢者向けの施設及び住宅は、厚生労働省が管轄、国土交通省が管轄、両省で管轄している3つがあります。両省で管轄している住宅が、最近増えています「サービス付き高齢者向け住宅」になります。
以下、自立した日常生活ができる高齢者(以下 自立した高齢者)向けの施設及び住宅に絞ってみていきます。
1.セカンドライフの生活費
厚生労働省が管轄している施設及び住宅は、「福祉施設」「介護施設」「民間の老人ホーム」の3つに分かれます。
「福祉施設」は、養護老人ホーム、生活支援ハウス、ケアハウスがあります。
このうち、養護老人ホームと生活支援ハウスは、生活困難者の高齢者向けの施設になります。ケアハウスは、所得制限がなく、自立した高齢者の方が入居できる施設になります。
生活・健康相談、食事、入浴、緊急時対応のサービスがあります。居室面積は21.6㎡以上です。
また、他の施設に比べて入居費用は低めです。
「介護施設」は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、養護病床がありますが、要介護1以上等が入居条件としてあり、自立した高齢者は入居できる施設はありません。
「民間の老人ホーム」としては、介護付き老人有料ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホームがあります。グループホームは、原則要支援2以上の高齢者が入居条件になりますので、自立した高齢者の方が入居できる施設は、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームになります。
介護付き有料老人ホームは、入居時自立型と介護専用型があります。入居時自立型は、自立したときに入居して、独立した居室で食事や生活支援サービスを受ける事ができます。居室面積は、13㎡以上です。また、要介護の状態になった時は、介護専用室に移動してサービスを受けられます。
住宅型有料老人ホームは、食事や見守り等のサービスあります。介護が必要になったときは、別契約で訪問介護のサービスを受ける事になります。居室面積は、13㎡以上です。
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームとも、入居一時金等があり他の施設に比べ入居費等が高額になります。
2.国土交通省が管轄している住宅
国土交通省が管轄している住宅は、シニア住宅、シルバーハウジングともに自立した高齢者の方が入居できる住宅になります。
シニア住宅は、(財)高齢者住宅財団が認定した高齢者向けの集合型の賃貸住宅になります。
基本サービスは、緊急時対応、安否確認、生活・健康相談、フロントサービスがあります。
食事や家事の援助等は選択サービスとして提供されています。また、入居一時金が必要な場合もあります。居室面積は、30㎡以上です。
シルバーハウジングは、高齢者向けにバリアフリー化した公営住宅になります。
ライフサポートアドバイザー(生活援助員)から安否確認や生活・健康相談にといったサポートが受けられます。居室面積は、18㎡以上。また、他の住宅に比べ入居費用は低めです。
3.両省で管轄しているサービス付き高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅(以下 サ高住)は、2011年の高齢者住まい法の改正で登録基準が設けられました。
その背景には、「高齢者単身・夫婦世帯の急増」、「要介護度の低い高齢者も特別養護老人ホームの申込者となっている現況」、「諸外国に比べて高齢者住宅の不足」などへの対応があります。登録基準の概要は以下のようになっています。
居住条件の設備面は、バリアフリー構造、各専用部分の床面積が原則25㎡以上で台所、水洗便所、収納設備、浴室を備えています。
但し、専用部分の床面積及び設備は、共用部分に十分な設備を確保した場合には、床面積は18㎡以上になり、専用部分の設備の設置義務は免除されます。
サービス面は、安否確認サービス、生活相談サービスが必須サービスになります。
「サ高住」を運営する事業者により追加のサービスとして、介護・医療・生活サービス等を提供している場合があります。
契約面は、長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できない等、高齢者が安心して居住できるような契約内容でなければならないと規定しています。
「サ高住」は、国交省、厚労省が定めた登録基準を満たす事業者へ税制面や融資面で優遇される制度が用意されていますので、今後も供給が増えて、自立した高齢者向け賃貸住宅の中心的な住宅になるかと思われます。
4.まとめ
施設や住宅の選択のポイントは、
1.住み慣れた地域で探すのか、セカンドライフ生活で自分が思い描いていた場所に移り住むか、といった立地条件による選択する。
2.居住スペースと居住スペース内の設備や各種サービスを重視する。又は、居住費を低く抑えることを重視して選択する。
3.自立と介護で住む場所を変えるか、要介護を想定して施設や住居を選択する。
の大きく3つになるかと思います。
また、体験入居ができるのであれば、積極的に利用し住み心地を確認しましょう。
ご夫婦での住み替えを考える場合は、ご夫婦でセカンドライフの過ごし方について話し合う時間を十分に持つようにしましょう。
以上、施設や高齢者向け住居に焦点を当てて、セカンドライフの住宅事情についてみてきました。
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