若い女性が離婚を考えるとき【2013年 第7回】

【2013年 第7回 若い女性が離婚を考えるとき】女性のための社会保険アドバイス

菅野 美和子 ⇒プロフィール

人の生き方はさまざまですが、結婚し、子どもを生み、幸せな家庭を築いていきたいと夢を持つ方も多いでしょう。しかし、幸せになれるはずの結婚で幸せになれなかったら、やり直しも含めて、次の人生を考えることになります。社会保険等の知識があると、さまざまな人生を選択していく上で役立ちます。

離婚を考えるとき

A子さんは32歳で結婚しました。そして翌年、娘が誕生しました。子どもの好きなA子さんは夢がかなってうれしく思っていました。

「子どもはふたり」がA子さんの理想でしたが、育児休業が終わり職場復帰すると、仕事と子育ての両立は思った以上に大変でした。

保育園の送り迎えもひとりでやっていますし、子どもが病気になったときに会社を休むのもA子さんでした。家事や育児に積極的に取り組まない夫にイライラして、だんだん夫婦がすれ違うようになってきました。

そんなとき、夫の金銭トラブルが発覚し、A子さんの頭の中から「離婚」という思いを消せなくなってしまいました。

しかし、離婚後生活していけるのか、子どもとふたりの生活が成り立つのか、A子さんは思い悩みます。

もちろん、夫婦がやり直しできたらよいのでしょうが、A子さんは、やり直すとも離婚するとも決断がつきません。

夫への愛情についてはA子さん自身が自問自答しなければなりませんが、A子さんが離婚を決意するときには、財産分与や子どもの養育費などお金の問題も考えておかねなりません。

子育て中の若い夫婦が離婚するときに考えておくべきことは、子ども、住まい、お金です。

お金に関することの中のひとつには、年金問題もありますが、若い世代にとって離婚時の年金分割はまず一番に考えなければならない問題ではないでしょう。

離婚時の年金分割とは、婚姻期間中の報酬を分割し、分割後の報酬で年金額を計算するという仕組みです。分割の対象期間は婚姻期間ですので、結婚期間が短ければ、分割したとしても自分の年金増加はわずかです。

また、A子さんのように共働きの場合は、お互いの報酬(毎月の給料やボーナス)の差を分け合うというイメージを持ってください。

給料にほとんど差がない、あるいは妻の給料が多いという場合、妻から年金分割を切り出さないほうがよいこともあります。

年金が増えると考えて年金分割を請求した妻が、反対に夫へ年金を分けることになるかもしれません。

それに、分割した年金を受け取れるのは自分の支給開始年齢からになるので、年金分割は今のお金の問題に「即戦力」とはなりません。

A子さんが離婚を決意するのであれば、お金の問題についは、年金分割より、養育費などに力を入れたほうがよいでしょう。

さらに、子どものいる女性が離婚を考えるときに、子どもを夫の健康保険の扶養家族としているケースが多いので、子どもの健康保険をどうしたらよいかという悩みも生じてきます。

 

離婚により子どもを扶養するようになれば、会社で自分自身の扶養家族として手続きしてもらいましょう。離婚ばかりではなく、別居であっても手続きできます。離婚した日、別居した日で申請しましょう。

妻が夫の扶養となっている場合、離婚後は国民健康保険に加入します。保険料については市区町村で異なります。

離婚をするということは、税法上、社会保険法上の妻としての優遇措置を失うということです。

しかし、離婚後は、妻としての優遇措置を受けられなくなるかわりに、離婚した母親としてひとり親医療の対象となることもあり、児童扶養手当を受け取れることもあります。所得税では寡婦控除の対象となります。(それぞれの条件については確認してください。)

社会保障制度は充分とはいえませんが、いろいろな選択がある中で、利用できる制度を上手に利用していけば、困ったときの助けとなるはずです。

A子さんには、まず、幸せとは何か、結婚とは何かを考えて、次の選択をしてほしいと思います。
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