【2013年 第1回 社会保険料は高い?】女性のための社会保険アドバイス
菅野 美和子 ⇒プロフィール
給料からは税金や社会保険料などいろいろなものが引かれています。特に毎年上がる社会保険料は、高いと感じることが多いですね。病気もしないし、家族もいないし、年金はよくわからないしと、若い世代やシングルの方には、そんな思いも強いのではないでしょうか。「女性と社会保険」のコラムでは、女性の立場から社会保険についてわかりやすくお話していきます。
給与天引きの社会保険料
給料から引かれている社会保険料は、よく見るとかなりの額です。意識したことがないという方は、一度給与明細をじっくり見てください。
給与天引きの社会保険料には、健康保険料、介護保険料(40歳以上65歳未満)、厚生年金保険料、雇用保険料があります。
雇用保険料以外は、毎月の給料を標準報酬月額という基準にあてはめて、一定の保険料率を掛けて、保険料を算出しています。会社と従業員が折半で負担します。
保険料の決め方は、扶養家族がいてもいなくても同じです。配偶者や子ども、自分の親などを扶養している人は、何人扶養家族がいても保険料は同じです。
家族4人世帯でも、シングルでも同じ保険料ならば、シングルの場合は、割高感が残りますね。
女性の場合は、男性と比較して扶養家族がいないケースが多いので、「ひとりなのにこの保険料?」と思う方も多いのではないでしょうか。
また、保険料の対象となるのは給料の総支給額です。非課税の通勤手当を含めます。遠方から通っている人は、通勤手当で得をしているわけではないのに、保険料が高くなり、その分手取りが減っています。
そのかわり、健康保険の給付(傷病手当金や出産手当金)や老齢厚生年金などは保険料に応じて支給されますので、デメリットばかりではありません。
健康保険は病気やケガなどのリスク対策と考えるといいでしょう。病気やケガはしないほうがよいのです。万一病気やケガをしたときに、3割の医療費で治療が受けられて、高額な医療費がかかったときにも高額療養費が支給されるので、安心できるということです。
健康保険は保険ですから、保険事故が起こらなければ給付はありません。保険に加入することで、病気やケガでの費用負担といったリスクから守られているのです。
これから結婚、出産を考える女性には、出産に関する給付もあります。
出産育児一時金は扶養家族であっても同額ですが、赤ちゃん一人につき42万円が支給されます。(実際には病院でかかった費用と42万円の差額を支払います。)社会保険に加入している人が出産した場合は、産前産後休業中は、出産手当金という休業保障もあります。出産・育児関係は充実し、給付金も増え、条件も良くなってきています。
社会保険の中でも「年金」というと、20代、30代などの若い世代は、関係ないと思うかもしれません。
年金は老後に備えるだけではなく、障害や死亡へも備えるものです。病気やケガでの治療費は健康保険で、そして、障害の状態になったときは障害年金で保障を得られます。
雇用保険は失業したときだけと思っている人が多いかと思いますが、そうではありません。教育訓練給付は、レベルアップを目指すために、講座を受講したとき、修了後に支給される給付金です。在職中でも利用できますし、退職後も一定の要件に該当すれば利用できます。
キャリアアップを目指して勉強したい、資格を取得したいと思っている人は、このような制度を利用するとよいでしょう。受講料の2割(上限10万円)が戻ってきますので、がんばる女性におすすめです。
健康保険や厚生年金は、配偶者などの家族がある人もシングルの人も同様に保険料を払うわけです。しかし、保険は基本的にはたすけあいの制度。たすけあいの制度に加入しているからこそ、困ったときにたすけてもらえると考えてください。困ったときが来なければ、ラッキーな人生なのです。
それでも、保険料が高いなあと思う人は、社会保険制度に関心を持ってください。
法律とは、基本的には国民が作るもの。いろいろな声を上げることによって改善されていくこともあります。無関心が一番怖いです。
今回は、男性女性に共通する社会保険料を中心にお話しましたが、次回からはもっと「女性」を意識して、ホットな、お役に立つ情報を提供していきますので、1年間おつきあいください。
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