【2013年 第2回 シングル女性と年金】女性のための社会保険アドバイス
菅野 美和子 ⇒プロフィール
人生いろいろな選択があり、結婚する、しないもそのひとつ。人からあれこれ言われることはありません。自分で選択した人生が一番です。ずっとシングルという生き方、再びシングルにもどるという生き方、さまざまです。シングルをひとことで表現すると「後がない」ということです。だからこそ、やがて迎える老後に備えておくことが必要です。
厚生年金保険
フルタイムで働く人は、勤め先で社会保険に加入しています。個人事務所など社会保険に加入しなくてよい事業所もありますが、法人であれば強制加入です。
給料からは保険料や税金が引かれています。
健康保険と厚生年金を合わせて自己負担は13%~14%程度。健康保険料は都道府県などによって異なりますが、厚生年金保険料は全国一律で、自己負担は給料やボーナスの8.383%です。
それでは、これだけ保険料を払っていて、どのくらい老後の年金を受け取れるのでしょうか。
平成23年度の厚生年金保険の概況をみましょう。
23年度末現在のデータですが、老齢厚生年金を受給している女性の平均月額は65歳以上で約11.1万円となっています。
これは、老齢厚生年金だけではなく、国民年金からの老齢基礎年金を含んだ額です。
ちなみに65歳以上の男性の平均額は約19万円です。
女性と男性、かなり違いますね。
その原因は、女性の厚生年金加入期間が男性よりも短いこと、男性と比較して給与が低いことです。
女性も男性と同じ条件で働けば、年金額は「女性の平均」とは違った額になります。
自分自身の年金額はねんきん定期便を参考にしましょう。
若い世代の定期便には、これまでの実績による年金額が記載されており、60歳時点での見込みはわかりません。
自分で見込み額を計算するシートがあるのですが、これもわかりにくいです。
こんなふうに考えてみましょう。
たとえば、30歳の人であれば、60歳まであと30年は年金制度に加入するわけです。
今の年金額を4倍してみると、いくらになりますか?
単純に計算はできませんし、30年後どうなっているかはわかりませんが、これまでと同じ条件で働いていればこのくらいになるんだなという目安にはなるでしょう。
40歳の人であれば現在の見込み額を倍にしてみましょう。
ここで年金は意外に少ないんだなと、実感するかと思います。
現在の年金制度は個人単位ですが、実は夫婦単位に考えられた制度です。
夫婦の場合、夫婦ならではの加給年金(配偶者手当のようなもの)もあり、また夫が死亡した場合には、妻に遺族年金という保障もあるわけです。
なにより、夫婦であれば、二人分の年金で暮らしていけます。
シングル女性の場合は、一人分の年金であり、しかも何ら加算もありません。
おひとりさまの老後
おひとりさまの老後には、おひとり様ならではの費用もかかるもの。
介護が必要になった場合は、助けが必要です。介護保険を利用することもできますが、場合によっては介護保険外のサービスも必要になってくるでしょう。
病気になれば、頼れるのは「お金」かもしれません。
お金の価値は何を基準にするのか、人それぞれですが、少なくとも、年金だけで生活するのはきびしいということが予測されます。
シングルで生きるということは、何かあったときの備えを自分で用意しておくということ。
現実的な年金額を確認して、準備をはじめませんか。
「シングルには後がない」というと、切羽つまったように感じるかもしれませんが、あとがないからこそ、自由でもあるわけです。
何が幸せかを決めるのは自分自身。でも、お金の用意だけはしておきましょう。
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